中学生で公民を習うときに、出てくる言葉でわかりづらいのが公共の福祉だと思います。私も中学生のころは、この言葉の意味があまりわかりませんでした。
しかし大人になって法律を勉強すると、世の中に必要な存在であることがわかります。今回は、公共の福祉の意味を簡単に解説しましょう。
公共の福祉とは
公共の福祉とは、個人の利益と社会の利益のバランスを取ることです。私たちは憲法によって、自由に生きられる権利を持ちます。
しかし全員の自由が、制限もなしに認められたらどうなるでしょう。全員が自分勝手に行動してしまい、最終的には社会が乱れてしまいます。
そのため個人が暴走しないように、公共の福祉によって制限がかかるわけです。
公共の福祉の具体例
公共の福祉の意味だけを説明しても、いまいちイメージが付きにくい人もいるでしょう。ここでは公共の福祉における具体例をいくつか紹介します。
上手くイメージしながら、言葉の意味を理解できるようにしてください。
本の出版と公共の福祉
まず例として挙げられるのが、本の出版についてです。日本には「表現の自由」があり、本を書くこと自体は問題なく認められています。
しかし書いた内容が、とある人物のプライバシーに関するものだったらどうでしょう。他人に知られたくない情報を書いた場合、世界中に広まってしまいます。
いくら表現の自由が認められるとはいえ、プライバシーを侵害するような本は表に出すべきではありません。こういった本は裁判により、販売をストップさせることもあります。
営業の自由と公共の福祉
人は誰もが営業の自由を持ちます。皆さんの中にも「未成年のうちは学校に行き、大人になって働く」ものだと考えている人がいるかもしれません。
しかし未成年者でも、営業すること自体は可能です。現実社会でも会社を立ち上げて、事業に取り組んでいる中学生や高校生はいます。
とはいえ仕事内容の中には、少なからず「資格」が必要な業種も存在します。仮にレストランを立ち上げる場合は、「食品衛生管理者」「防火管理者」の資格を取らないといけません。
こういった資格がないと集団で食中毒が発生したり、火事を発生させて近所にも迷惑をかけたりする危険が高まります。人々の健康や身体を守るため、営業の自由にも一定の制限があります。
新型コロナウイルスの制限
2024年時点では落ち着きつつありますが、今もなお新型コロナウイルスに苦しむ人がいます。新型コロナウイルスの被害が多かった2020年頃、皆さんも自粛生活をしていたでしょう。
この時期は、修学旅行を取りやめる学校もたくさん発生しました。本来はどこかに旅行する自由も、本来であれば日本国憲法で守られるはずです。しかし新型コロナウイルスの拡大を防ぐため、人々の移動にも制限がかけられました。
今後も新たなウイルスや伝染病が発生した場合、こうした自由にも制限がかかるかもしれません。これらもまた公共の福祉の考え方といえます。
自由には責任がある
現代の日本では、国民一人ひとりにあらゆる自由を認めています。一方で自由には、必ず責任がつくものです。人々は自由に生きる中で、行為に対する責任を持たないといけません。
公共の福祉は、全員の暮らしをより豊かにするための制限です。公共の福祉に従いながら、人としての行動を取ることが私たちの果たすべき責任なのかもしれません。