NHK党の立花孝志氏が、名誉毀損罪の容疑で逮捕されました。死亡した元兵庫県議員の名誉を毀損した疑いがかけられています。
この記事では、立花孝志氏が逮捕された背景についてわかりやすく解説します。名誉毀損罪の内容にも触れていくので、法律を勉強している方はぜひ参考にしてください。
立花孝志氏の逮捕とは
「NHKをぶっ壊す」でおなじみの立花孝志氏が、名誉毀損罪の疑いで戦いで逮捕されました。彼は元兵庫県議員の竹内英明氏について、Xや自身のyoutube、街頭演説で名誉を毀損した容疑にかけられています。
竹内氏は兵庫県知事の斎藤元彦氏のパワハラ疑惑を巡り、百条委員会の委員となりました。しかし斎藤知事のパワハラ疑惑の根拠を出せず、その疑惑を本当かのように報じたマスメディアもバッシングを受けます。
こうした最中、立花孝志氏は竹内氏を「事件の黒幕」として、自身のSNSの視聴者にも訴えていました。最終的に竹内氏は議員を辞職しただけではなく、自ら命を絶ってしまいます。
立花孝志氏が名誉毀損罪の容疑にかけられた発言とは、「竹内氏が県警から事情聴取され、逮捕される予定である」といった内容です。この発言に対し、竹内氏の妻が立花孝志氏を告訴しました。
名誉毀損罪とは

名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示し、人の名誉を傷つけることに対する罪です。罪を犯した者には、3年以下の拘禁刑もしくは50万円以下の罰金が科せられます。
内容が複雑であるため、要件を一つずつ見ていきましょう。名誉毀損罪については、こちらの記事でも簡潔に触れています。同じく話題となったニュースから説明しているので、併せてチェックしてみてください。
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公然と事実を摘示した
名誉毀損罪の構成要件の一つが、公然と事実を摘示したことです。公然とは、不特定多数の人が事実を認識できる状態を指します。
たとえばXなどのSNSにおいて、名誉を毀損する行為は不特定多数の人が投稿をチェックできるためアウトです。立花孝志氏の場合、街頭演説での発言も名誉毀損罪に触れる恐れがあります。
事実を摘示するとは、具体的に相手の名誉を下げる発言をすることです。単に「バカ」「アホ」と発言するだけでは、名誉毀損罪には該当しません(侮辱罪に該当する可能性はある)。
また名誉毀損罪は、個人が特定されうる状態にあることを要します。イニシャルやペンネームに対して犯罪を行った場合も、個人が特定されるリスクがあれば成立する可能性があります。
立花孝志氏は、執拗に「竹内氏は警察に逮捕される」といった発言をしていました。しかし結果的に「事実無根」「虚偽」であり、立花氏自身が逮捕されたわけです。
名誉毀損性がある
名誉毀損罪に該当するのは、相手の名誉を下げる危険性がある発言をしたときです。具体的には、社会的評価を低下させるような発言が対象となります。
なお現実に侵害されたかどうかは、名誉毀損罪の要件ではありません。実際に社会的評価が低下したかを立証するのは難しいためです。
事実でも罰せられる
名誉毀損罪は発信した内容が事実であっても、罪に問われうるのが特徴です。あくまで事実を摘示する行為への罪であり、真実かどうかは要件ではありません。
ただし事実を摘示した理由が公益を図る目的であれば、刑法第230条の2にて罰しないと定められています。たとえば詐欺の被害に遭った人が、その内容をSNSで発信する行為は公益性があると認められやすいでしょう。
なお死者を名誉毀損する場合は、例外的に「虚偽の内容」のみが刑罰の対象となります。SNSが発達した社会において、私たちが発信する際には十分注意しなければなりません。
親告罪である
名誉毀損罪は、被害者が告訴することで捜査がスタートする親告罪に分類されます。つまり被害者が起訴してほしいと捜査機関に要望しない限りは、そもそも警察も捜査をしません。
今回の事件に関しても、竹内氏の妻が死亡した夫の代わりに告訴しました。このように被害者が死亡したときは、配偶者や直系尊属・直系卑属、兄弟姉妹が代わりに告訴できます。
また現代社会では、SNS活動をしている未成年者も名誉毀損罪の被害に遭うこともあるでしょう。この場合は、未成年者本人だけではなく、両親にも告訴が認められます。
両親はそれぞれが告訴する権利を持つため、母親が行使しなくても父親が個別に行使できます。なお告訴は一度取り下げてしまうと、二度と告訴できなくなるので注意が必要です。

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立花孝志氏は起訴されるか
立花孝志氏が起訴されるかどうかは、名誉毀損罪以外の犯罪も考慮される可能性があります。具体的にどういう意味か、わかりやすく解説します。
立花孝志氏は執行猶予中である
まず押さえたいポイントは、立花孝志氏が執行猶予中であることです。具体的には威力業務妨害罪や脅迫罪の疑いで、2023年3月に懲役2年6カ月執行猶予4年の判決を受けています。
執行猶予中に再犯をして、拘禁刑の刑罰が確定したときは執行猶予が必ず取り消されます。とはいえ刑罰が確定しなければ、基本的には執行猶予は取り消されません。
名誉毀損の疑いで起訴され、罰金刑が確定したときは裁判所側が裁量的に取り消すことも可能です。ただし裁量的に取り消されるケースはほぼなく、一般的には「拘禁刑以上の確定」で執行猶予が取り消されるとなるでしょう。
なお仮に名誉毀損罪で「拘禁刑」が確定した場合、前の罪の刑罰と新たな罪の刑罰が合算されます。立花孝志氏は懲役2年6カ月の判決を受けているため、仮に名誉毀損罪で3年の拘禁刑が確定したら、収容される期間は5年6カ月です。
被害者が亡くなっている
今回の事件において被害者が亡くなっていることも、立花孝志氏が起訴される可能性を高めています。立花孝志氏の発信が間接的に人の命を奪ったと、検察側に判断されうるためです。
また死亡した人物が元兵庫県議員である点から、社会的には大きな影響を与えた事件ともいえます。立花孝志氏の立場も考慮すると、名誉毀損罪で一発実刑となることも考えられるでしょう。
示談が成立するかどうか
立花孝志氏に実刑判決を下されるかは、示談が成立するかどうかにも影響されます。仮に被害者遺族との間で示談が成立したら、不起訴となる可能性も高まるでしょう。
また仮に起訴されたとしても、示談が成立することで刑罰が軽くなる場合もあります。罰金刑に持っていけば、事実上執行猶予が取り消されるケースもほぼなくなるわけです。
とはいえ示談は、あくまで被害者遺族との話し合いで決められます。相手が話し合いに応じなければ、刑事裁判で有利な立場に立つことは難しくなります。
この辺りは被害者遺族の考えに加え、立花孝志氏側の弁護士がどのように交渉するかでも大きく変わる部分です。双方の今後の動きに注目が集まります。

示談が成立しても、起訴される可能性はあるよ!
立花孝志氏の逮捕のまとめ
立花孝志氏は、元兵庫県議員の竹内英明氏を名誉毀損した疑いで逮捕されました。以前にも威力業務妨害罪で執行猶予となっているため、どのような判決を下されるかが重要なポイントとなります。
今回の事件で注目されるのは、被害者遺族との話し合いがどこまで進むかです。示談が成立したら不起訴になったり、起訴されても減刑されたりする可能性が高まります。
SNSを利用している私たちも、発信する際には十分注意しなければなりません。特に名誉毀損罪は、たとえ事実でも刑罰の対象になる可能性があるため、発信内容に問題がないかを必ずチェックしましょう。