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一物一権主義とは?読み方や例外も含めてわかりやすく解説

民法の物権の範囲において、押さえてほしいポイントの一つが一物一権主義です。実際に条文があるわけではないものの、物権の基礎的な内容として理解する必要があります。

この記事では、一物一権主義についてわかりやすく解説します。成立しないケースや例外についても触れていくため、行政書士試験を勉強されている方はぜひ参考にしてください。

 

一物一権主義とは

一物一権主義についてわかりやすく示したイラスト

一物一権主義とは、一つの物には一つしか同種の物権が成り立たないとする考え方です。物権の基本原則として、排他性が挙げられます。

物権とは物を直接支配するために認められた権利であり、正当な理由なく他人に邪魔されることはありません。したがって一つの物に対しては、一人だけが権利を持つとされています。

一物一権主義の読み方は、「いちぶついっけんしゅぎ」です。読み方がわからないと理解するのが難しくなるため、一緒に押さえてください。

 

一物一権主義が成立しない例

一物一権主義が成立しない例として、以下の3つが挙げられます。

  • 一つの物に複数人が権利を持つ
  • 物の一部に権利を持つ
  • 複数の物に一人が権利を持つ

それぞれ具体例を挙げながら、詳しく解説していきます。

一つの物に複数人が権利を持つ

一つの物に対して、複数人が物権を有することは認められません。たとえば皆さんがスマートフォンを持つとき、基本的に自分の名前で契約を結ぶはずです。

何か物を所有するとき、所有者は一人でないといけません。複数人所有者がいると、最終的に誰が真の権利者かわからなくなるためです。

物の一部に権利を持つ

物権の対象になる物は、全体に対して権利を有さなければなりません。たとえばカメラが一台あった場合、所有権はカメラ全体に保障されます。カメラのレンズだけ所有権を取得しているといった状態は、基本的には認められません。

仮に物が分解できるのであれば、一部に物権を有するケースもあるでしょう。たとえばスマホ本体を自分が所有しつつ、スマホカバーは友人から借りていることもあるはずです。この場合は、本体とカバーそれぞれ別の所有者がいるといえます。

しかし何らかの理由で、二つ以上の物が一つにまとまるケースがあります。具体例として挙げられるのが、家に新しくエアコンを設置したときです。

当該エアコンを付合物とよび、家の一部を構成する要素となります。つまり家の所有者は、エアコンも一緒に所有するようになるわけです。

複数の物に一人だけが権利を持つ

物が数個ある場合、物権は一個一個に成立するのが基本です。たとえば皆さんが商売をするため、同じ種類のパンを複数個揃えていました。この場合はすべてのパンに対して一つの所有権と捉えるのではなく、一個一個のパンに所有権を成立させます。

その理由は、複数の動産に一つの権利を認めると、客観的に証明するのが難しくなるためです。ちなみに一つの財産とみなされた複数の動産は、集合動産と呼ばれています。つまり集合動産には一物一権主義が成立しないと言い換えられるので、併せて押さえてください。

 

一物一権主義の例外

「一つの物」「一つの権利」という要件を満たしていない場合は、一物一権主義が成立しません。しかし上記の要件を満たしていなくても、例外的に一物一権主義が成立することもあります。ここでは、どのような例外があるかを説明します。

共有と一物一権主義

一物一権主義を採用すれば、一つの物を複数人が所有することはできません。一方で一物一権主義の例外として、共有があります。

共有とは、一つの物を複数人で持分権を有している状態です。所有権が二つ以上あるわけではなく、一つの所有権を山分けしている状況と押さえてください。

特に共有は、所有者の一人が単独ですべての権利を行使できません。たとえば共有物を誰かに売却するときは、ほかの共有者から同意を得る必要があります。

こうした特徴からも、共有は一物一権主義に反しないとするのが通説です。共有の具体的な内容については、以下の記事でも詳しく解説しています。

建物の区分所有と一物一権主義

一物一権主義は、物の一部に成立しないのが原則です。しかしその例外として、建物の区分所有が挙げられます。

皆さんがマンションを購入する場合、一般的には一室分のローンを借りて購入するはずです。部屋はマンションの一部ではあるものの、独立した存在であるとみなされます。行政書士試験のみならず、宅建の勉強においても押さえておきたい知識です。




マンションの一室を知人に占拠されたとき、その部屋に住む人は所有権を行使して追い出すことができる!

集合動産と一物一権主義

集合動産については、一物一権主義の適用により物権を認めないのが原則です。しかし集合動産を譲渡担保するときは、例外的に物権が認められることもあります。

集合動産の譲渡担保とは、複数の動産について担保を設定する行為です。たとえばAがBにお金を貸し、Bの倉庫で保管している物品すべてを担保にするケースが該当します。この場合は複数の物品について、全体まとめて物権が成立します。

 

一物一権主義に関するまとめ

今回の内容をまとめると、皆さんの有する物権は一つの物に成立させるのが基本です。物権の排他性について押さえつつ、一物一権主義が成立しないケースをしっかりと理解しましょう。

とはいえ成立しないケースに該当していても、例外的に一物一権主義が認められることもあります。物権の基本的な内容になるので、行政書士試験を受験される方は勉強しておきましょう。