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無権代理と表見代理の違いとは?公務員試験の民法対策!

どーも、ヤマトノです。公務員試験の勉強は捗っていますか?

特に専門科目の民法は覚えるところが多くて大変だと思います。私のブログでは、公務員試験に出題される科目を徹底的に解説しています!

民法の代理の範囲もこのようにまとめているので、ぜひ確認してみてください!

今回は「無権代理と表見代理の違い」を説明します!

この内容を勉強するにあたって、購入しておくべき参考書とテキストは以下の2つです。

 

無権代理と表見代理は、日常生活で聞き慣れている言葉ではないでしょう。ある程度意味を押さえた方が、問題も解きやすくなります。

この記事では、無権代理や表見代理の言葉も細かく解説します。わかりやすい解説を探している方は、ぜひ最後までご覧ください。

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無権代理と表見代理の違い

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公務員試験で代理の勉強をすると、以下の2つの言葉が現れます。

  • 無権代理
  • 表見代理

これらは性質が似ているものの、厳密的には意味が異なります。

しっかりと定義を説明できるよう、無権代理と表見代理の違いを徹底的に押さえましょう!

無権代理は代理権を持たない人

無権代理を簡単に説明すると、代理権を持たない人を指します。

例えば、任意代理の場合は本人が代理人を決めます。しかし、その代理人は「面倒だと感じたため」勝手に第三者へ押し付けたとしましょう。

このやり方は、任意代理のルールを破っています。任意代理に関しては以下の記事を参照してください。

ルールを破っているため、第三者が代理行為をしたところで効果は生じません。この場合、第三者は無権代理に該当します。

このように具体例を用いながら勉強するとわかりやすいでしょう。

表見代理は見せかけの代理人

表見代理とは、「見せかけの代理人」です。

例えば、母が父に何も言わず父名義で大学生息子の奨学金を借りました。

夫婦は日常生活で相互協力をする義務に絡みますが、学生支援機構は当然に父から同意を得ていると思うはずです。

そのため、父が「貯金を崩したくないから認めない」と文句を言っても、奨学金の手続きは完了します。結果的に、代理と同じ効果を生みました。

では、表見代理は無権代理とどのように異なるのでしょうか。

厳密には表見代理と無権代理は全くの別物ではなく、同じカテゴリーに分類される概念です。すなわち、表見代理は無権代理の一種と考えられます。

しかし、両者を見分ける際には、明確な違いがあります。

その違いとは、本人に責任があるか否かです。表見代理は本人の意思表示のミスで、見せかけの代理人が生まれる状態を意味します。

表見代理が成立する要件については、後述でより詳しくまとめます。

無権代理と相続

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無権代理の範囲は、相続と絡んだ問題がとても多いです。

  • 本人が無権代理人を相続
  • 無権代理人が本人を相続
  • 第三者が無権代理人→本人を相続

パターンごとに覚えましょう。

なお、ここでは3人の登場人物がいると押さえてください。

  1. 本人
  2. 無権代理人
  3. 第三者

まずは1つ具体例を提示します。住む家が欲しい無権代理人は、本人名義で勝手に家の購入をしました。

この条件をもとに、さまざまな事例を考えてみます。

本人が無権代理人を相続

無権代理人がやらかした後に突然亡くなった場合を想定します。

結論からいえば、本人は無権代理行為の取り消しが可能です。

好き勝手振り回されて断る権限が無くなるのは流石に可哀想ですからね。ただ、上記の例のケースでは相手方にも罪はありません。

そのため、一定の責任を負う義務は働きます。

無権代理人が本人を相続

次に無権代理人が本人名義を勝手に使ったところ、本人が亡くなって契約の主体が無権代理人と相手方になりました。

相続と無権代理の関係性は、以下のような違いが見られます。

  • 単独相続か
  • 共同相続か

単独相続はそのまま無権代理人が本人の立場になるため、取引は有効に成立します。(追認を拒絶できない)

無権代理人が取引したいと言っているのに、本人を相続した途端に拒絶するのは意味不明ですからね。ただし、共同相続であれば話が変わります。

共同相続は相続人が複数いるため、彼らにも迷惑がかかるからです。兄弟がいる方は大抵が共同相続となります。

それでも、共同相続人の全員が追認したときは取引も有効に成立します。

第三者が無権代理人→本人を相続

「無権代理人→本人の順番」で亡くなり、第三者が両者を相続した場合を解説しましょう。第三者はまず、無権代理人を相続します。

当然、無権代理人の立場を引き継ぐため、本人の追認を待たなければなりません。しかし、追認を待っている間に本人が亡くなったとします。

本人の立場も相続したら、今度は追認できる権限を担うはずです。しかし、判例は第三者の追認を認めませんでした。

無権代理人が本人を相続したパターンと同じ」だからです。

表見代理の要件3つ

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表見代理は相手方が代理人だと誤信した状態ですが、発生要因は大きく3つ挙げられます。

  • 代理権授与表示
  • 権限外の行為
  • 代理権消滅後の行為

これらが何を意味するかも踏まえ、要件を具体的に紹介しましょう。

①代理権授与表示

代理権授与表示は、「代理権を与えた」事実が明記された通知を第三者に与える行為です。

代理権そのものを与える行為ではありません。とはいえ、第三者が通知を見てしまうと、適切に代理人が任命されたと勘違いしてしまうはずです。

たとえ無権代理だとしても、この場合には表見代理と想定されます。

ただし、代理権授与表示における表見代理の成立は、任意代理しか認められていません。

②権限外の行為

権限外の行為は、代理人が代理権の範疇を超えた場合を指します。

ただし、こちらは第三者が正当な代理人であると信じた場合が条件です。

第三者からすれば、取引を安全に行うことが何よりも大切です。民法も円滑な取引を進めるべく、このような要件を設けました。

権限外の行為の場合は、法定代理にも表見代理が適用されます。

③代理権消滅後の行為

代理権消滅後の行為は言葉の通り、権原が無くなったのに代理行為をした場合です。

こちらも「権限外の行為」と同じ理由により表見代理が成立します。たとえば、代理人が破産手続きを行った場合、通常であれば代理権は消滅します。

しかし、第三者はその事実がわからないかもしれません。権原を失った代理人が何か法律行為をした場合、表見代理として効果が認められます。

こちらは代理権授与表示と同じく、法定代理には適用されません。

表見代理の効力

表見代理は代理人と直接の相手方との関係でしか効力を発揮しません。

相手が安心して取引するための制度だからです。そのため、相手方の善意・無過失がなければ効力は認められません。

相手方に悪意や過失の疑いがある際、立証するのは本人です。A本人とB代理人、C相手方がいる場合は、C相手方の悪意・過失の立証はA本人が該当します。

そして、表見代理の要件には「本人に原因がある」こと、すなわち帰責事由も必要です。

まとめ

この記事では、無権代理と表見代理の違いを紹介しました。今回を含め、ブログでは代理について複数記事を書きました。

公務員試験の専門科目では、問われやすい範囲です。ただ、内容としては難しいかなと思います。

代理の形態の違いやそれぞれの発生条件など、過去に問われた部分を中心に押さえていきましょう!

代理に関する記事の一覧を並べておきます。

ご覧いただき、ありがとうございました!