皆さんも日々のニュースを見るなかで、森友学園の問題を今も目にすることがあるでしょう。しかし問題視されていた当初も、何が問題なのかわからなかった方もいるでしょう。
この記事では、今さら聞けない森友学園の問題をわかりやすく解説します。日本の政治経済を勉強されている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
森友学園の問題とは
森友学園の問題とは、学校法人「森友学園」が国と交わした売買契約を巡り、安倍晋三元首相や財務省に汚職があったのではと疑われた事件です。同時期に加計学園問題も起こった点から、これらを併せて「モリカケ問題」とも呼びます。
森友学園は土地を購入するため、近畿財務局と契約を交わしました。しかし土地に埋蔵物(ゴミ)が多数あり、近畿財務局の説明不足もあって値引きに成功します。
しかし当該値引きについて、近畿財務局と森友学園の関係をマスメディアが疑いました。さらに森友学園の名誉校長が安倍昭恵夫人だったこともあり、「当時の首相だった安倍晋三氏が関与しているのでは」と騒がれたわけです。
財務省側は当時の経緯について、国会で答弁しました。しかし当時の財務局長だった佐川宣寿氏の勉強不足や野党の意味のない追及により、答弁の内容がおかしな方向に進んでいきます。
答弁の内容と辻褄を合わせるべく、佐川氏は近畿財務局職員の赤木俊夫氏に決裁文書の書き換えを命じました。結果的に赤木氏はうつ病を発症し、2018年に自ら命を絶ってしまいます。
森友学園の歴史
森友学園とは、私立の「塚本幼稚園」を運営していた学校法人です。1953年に認可を受け、1971年3月に設立されました。
日本の伝統や愛国心教育に力を入れており、君が代や日の丸行進曲も練習するのが特徴でした。ここでは森友問題も含め、どういった経緯があったかをまとめます。
2016年:国有地を購入
森友学園は、2016年に国との間で国有地の売買契約を交わしました。鑑定価格は約9億5600万円でしたが、払い下げ価格が1億3400万円と大幅に下げられます。
約8億円も払い下げられた原因は、土地に埋蔵物(ゴミ)が多く埋められていたためです。この埋蔵物について、近畿財務局側は森友学園にきちんと説明できていませんでした。
そこで交渉の結果、価格を下げる代わりに埋蔵物の処理を森友学園に一任します。契約はあくまで裁量に委ねられ、当該ケースも法的には大して問題ありません。
2017年:籠池夫妻の逮捕
森友学園の問題は財務省の不手際が発端ですが、学校法人の理事長も刑事裁判にかけられました。当時の理事長である籠池泰典氏は、国や地方公共団体から不当に補助金を得たとして、妻とともに逮捕されます。
本人たちは最初無実を訴えたものの、大阪地裁は懲役5年の判決を下しました。ただし1200万円の保釈金を支払い、保釈が認められています。
その後は大阪高裁と最高裁へ上訴を行いましたが、いずれも棄却されました。最終的に籠池氏は理事長を辞職し、夫婦ともに大阪拘置所へ収容されます。
2021年:塚本幼稚園の廃園
森友学園が運営していた塚本幼稚園は、2021年3月末をもって財務悪化により休園となりました。しばらくは預かり保育を受け入れていたようですが、7月に不動産明渡しの仮処分が下されます。
11月には解体工事がスタートし、2025年現在ではマンションが建設されているとのことです。なお森友学園は「新清和台学園」に名称を変更し、理事長を別の方にしたうえで、2025年現在も運営を続けています。
森友学園問題と財務省
森友学園問題で、もう一つ問題視されたのが財務省の対応です。当時の財務局長である佐川氏が公文書の改ざんを指示し、朝日新聞に追及されました。
この問題を皮切りに、当時の財務省職員であった赤木氏の自殺を招いてしまいます。次に財務省では、どのような騒動があったかを詳しくまとめましょう。
誤った方法で入札をかけた
上述したとおり、そもそも土地が安く入札かけられたのは、埋蔵物(ゴミ)が地中に数多くあったからでした。本来であれば、価格をあらかじめ下げた状態で入札をかけないといけません。
しかし近畿財務局は適切な手順をとらないで、約9億5600万円の価格で入札をかけてしまいました。あとから値引きされたため、客観的に見ると動向が怪しく映ってしまいます。こうした手続きの不備が、森友学園問題の発端となったわけです。
決裁文書の書き換えをした
公務員が何か事業をするには、決裁文書を作成・保管しなければなりません。正しくは起案という形で書類を作り、上司から決裁を得る必要があります。
森友学園問題を巡り、佐川氏は国会で不明瞭な答弁をしてしまいました。さらに自分の答弁に合わせ、決裁文書を書き換えるように指示します。
もちろん野党側が関係のないことで必要以上に追及した件も、決裁文書の書き換えに至った一因にはなっています。とはいえ佐川氏が契約の流れをきちんと理解していれば、赤木氏の命は守れたかもしれません。
その経緯について、近畿財務局の職員だった赤木氏はファイルに細かくまとめました。客観的に見れば、佐川氏の保身のために赤木氏が自ら命を絶ってしまったともいえます。
赤木ファイルを巡り裁判へ
財務局長から改ざんを支持された経緯について、赤木氏がまとめた書類を赤木ファイルと呼びます。赤木氏の遺族は、当該ファイルを開示してほしいと国に対して要求しました。
国側はグローマー拒否*1をしていたものの、数ヶ月後に折れて開示します。さらに国に真相を追及すべく損害賠償訴訟を起こしますが、国側はあっさりと賠償を認めて訴訟を終わらせました(請求の認諾)。
国側が賠償を認めれば、赤木氏の遺族側が「勝訴」という形になるため控訴ができません。つまり話を深堀りさせないよう、国は半ば強制的に裁判を終わらせたといえます。
なお情報公開法や国家賠償請求に関する内容は、別の記事で詳しくまとめています。併せて読みたい方は、下記のリンクも参照にしてください。
情報公開法とは?情報公開条例との違いや対象となる文書 - 【資格の教室】ヤマトノ塾
国家賠償法1条1項に関する判例|行政書士試験の対策をしよう - 【資格の教室】ヤマトノ塾
佐川氏に対して訴訟を起こした
国が請求を認諾したことから、赤木氏の妻は次に佐川氏本人にも訴訟を提起します。しかし公務員の過失は、基本的に個人で責任を負わないのが原則です。
そのため大阪地裁は請求を棄却し、その後の控訴審や上告審も棄却されました。なお刑事事件の話ですが、佐川氏は虚偽公文書作成等の罪にかけられるものの、嫌疑不十分として不起訴処分となっています。
こうして赤木氏の遺族側の起こした訴訟は、釈然としないまま終了してしまいました。個人に対する訴訟は国家賠償法の観点から仕方ないとはいえ、国の対応は「保身」と言わざるを得ませんでした。
森友学園問題と安倍夫妻
森友学園問題について、安倍首相も森友学園に寄付金を送っていたのではと、マスメディアに狙われました。しかし客観的に見ても、安倍夫妻が森友学園に寄付を送った事実はないといえます。
狙われたきっかけとなったのは、昭恵夫人が森友学園の名誉校長に就任していたためです。併せて籠池氏が「安倍晋三から100万円の寄付金をもらった」と嘘をつき、その話にマスメディアが騙されてしまいます。
もちろん籠池氏が嘘をついたのは、自身の補助金の不正受給を隠蔽するためです。しかしマスメディアが変に乗っかってしまったため、批判の矛先がどんどん変な方向へ向いていきます。
現に財務省が公開した4000ページにわたる決裁文書を読んでも、安倍夫妻の話はほとんど出てきません*2。本当に関わっているのであれば、この決裁文書にやり取りが書かれていないとおかしいわけです。
昭恵夫人が森友学園の名誉校長だった点は、本筋とは何ら関連がありません。
森友学園問題の本当の原因
森友学園問題は複雑なように感じますが、そもそもの発端は近畿財務局のミスと籠池氏の違法行為です。財務局が入札前に金額を差し引かなかったこと、籠池氏が不当に補助金を得たことが事件の始まりでした。
さらに財務局長だった佐川氏の答弁が、単純な問題をより複雑にしてしまいます。その答弁に合わせる形で決裁文書の書き換えが行われ、最終的に財務局の職員だった赤木氏が命を絶つという最悪な結果に終わりました。
森友学園問題は佐川氏や籠池氏にも問題はありますが、制度をよく調べずに追及したマスメディア、野党側にも責任があるでしょう。さらに国側も国家賠償請求訴訟で、請求を認諾したために中途半端な形で終了してしまいました。
マスメディアや野党がどうでもいいことに力を注いだため、本来解決されるべきはずの財務局と赤木氏の問題に焦点が当たりませんでした。最終的に一番救わないといけない、赤木氏の遺族が報われない結果となってしまいます。
*1:書類の存否を明らかにしないで、開示を拒否すること