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円安は日本にとって不利なのか?メリットとデメリット・対策を解説

今、日本の経済は円安が続いています。令和4年6月20日時点で円/ドルレートが約134円でした。

つまり、1ドルを手に入れるには134円を支払わなければなりません。「円安が日本にとって不利」と主張する人は一定数います。

しかし、果たしてこの騒ぎは本当なのでしょうか?円安のメリットやデメリット、対策について紹介します。

 

円安は日本に不利?

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まず、円安が日本に不利なのかを検証します。

結論を先に言えば、円安の影響は
産業の立場によるです。

つまり、日本という主語があまりにも大きく、一概に国全体で不利かどうかはわかりません。

 

輸出産業や観光業に有利

円安は、輸出産業や観光業に大きな恩恵をもたらします。

なぜなら、円高時よりも単純に物やサービスが売られる可能性も高いからです。

輸出は「外国に品を売り、代わりに金銭をもらう作業」を指します。仮に1ドルが80円であれば、1万ドルの商品を売っても80万円しか貰えません。

一方で、1ドル=130円なら130万円と「50万円の差」が生まれます。そのため、円安時は「輸出産業」で儲ける戦略が基本です。

観光業の場合も6%弱の割合とはいえ、ドルを円に換えたアメリカの客が各施設にお金を落とします。

いわゆる「インバウンド」ですが、
1ドル=80円1ドル=130円であれば後者のほうが儲かりやすくなるといえるでしょう。

コロナ禍で落ち込んだ観光収入を少しは立ち直らせる程のエネルギーを持つわけです。

 

輸入産業には不利となる

輸出産業で利益が得られる円安は、反対に輸入産業で不利となってしまいます。

外国の商品を購入する際、よりお金を掛けて外貨に換える必要があるからです。

130円で1ドルを買うよりも、80円で1ドルを買ったほうが負担は軽減できるでしょう。

このように産業の立場によって、有利・不利が変わるのが「円安と円高」の特徴です。

 

 

円安のメリットとは

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円安にもメリットはいくつもあります。

口々に「悪い円安」と言われるものの、もう少し冷静に考えてみる必要はあるでしょう。ここでは、円安で受けられる恩恵を紹介します。

 

日本国内のGDPが増える

円安のメリットのひとつが、
GDPの増加です。

以前も公務員試験の解説記事でGDPはいろいろと書きました。

外国からモノが買われやすくなるため、日本に金銭が運ばれやすくなります。確かに、今はウクライナ危機で「原油」が手に入らない現状です。

これまでとは違って輸出が制限されていることは間違いありません。

ただ、下記のサイトを参照ください。

www.jcer.or.jp

4月のGDP率は結果的に落ちてはいるものの、冷静に数字を見ていけば絶望的なところにまでは陥っていないことがわかります。

ここ数年は「アベノミクス」の影響が右肩上がりの成長を演じてきましたが、日本の経済はまだ戦えるところにあります。

輸出が大幅に低下しつつも、とりあえずは持ちこたえている状態です。少なからず円安政策が影響していると分析できるのではないでしょうか。

 

観光収入の復活を狙える

前述しましたが、円安は観光収入にも大きな効果をもたらします。

皆さんは、現在観光産業が非常に大きな痛手を受けていることは数字で理解していますか?

実は2019年から2020年にかけて、収入ベースで11兆円分を稼げなくなってしまいました。

新型コロナウイルスによる制限は、かなりのダメージを与えたといえます。その復活のカギを握るのが紛れもなく「円安」です。

確かに、肝心の米ドルを持つ北米は全体の6%と高い数字を誇るとはいえません。

それでも、北米で「210万人」と多くの観光客が足を運んでいます。(2019年ベース)

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001348279.pdf(観光庁:令和2年版観光白書について)

つまり、円安で20円安くなれば単純計算で4,200万円の増。

消費量がもっと多くなれば、それ以上の収益を得ることも不可能ではありません。

岸田内閣がもっと外国人観光客を受け入れ緩和できるかどうかにかかっています。

 

賃上げの実現には欠かせない

総括すれば、円安の最大のメリットは日本で貨幣が供給されることです。つまり、政策次第では賃上げも普通に叶えられます。

それができない理由は、日本がインフレにやたらビビるからです。

確かに、インフレが進むと物価の高騰が収まらなくなります。

とはいえ、日本のインフレ率を本当に数値で把握できているでしょうか?

ecodb.net

『世界経済のネタ帳』を参考に結果を見てください。

2022年4月時点のインフレ率はわずか0.98%です。

アベノミクス初動の頃と比べても、全くもってインフレは達成できていません。

「え?物価が上がっているのになぜ?」と思う人もいるでしょう。大きく分けて2つの原因があります。

  • 賃金が上がっていない
  • そもそも物価自体は高くない

まず、日本の場合は「賃金」が全然上がっていません。まだまだ国民の消費量が足りないからだと考えます。

前の記事でIS-LM分析の話もしたとおり、科学的には金融政策だけではなく、財政政策の取り組みも必要不可欠です。

日本は「財政面」が弱点だと思います。国債を刷る余裕はまだあるのだから、公共事業への投資と減税が重要です。

そして、実は日本の物価は大して上昇していないというワナがあります。

「えぇ?だってパンとかおかずとか全部高いよ?」と言うかもしれません。

そうなんです。日本で価格が大幅に上がっているものは、ガソリン価格と食料品なんですね。

www.stat.go.jp

総務省の統計局から資料を拝借します。

全部で3つの項目がありますが、「総合」と「生鮮食品を除く総合」は数値も高くなっていることがわかるでしょう。

では、「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」を見てみると?0.8%と全くもって数字が上がっていません。

つまり、「物価の高騰」は誤りであり、正しくはエネルギー価格と食品価格の高騰と言わなければならないのです。

物価も総合的には上がっておらず、賃金面で課題がある今は「貨幣供給」が引き続き重視されます。

 

円安のデメリットとは

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当然、円安も進みすぎは良くありません。かつて日本円が基軸通貨として扱われた頃は、1ドル=360円と非常に大きな差がありました。

それから考えれば、134円もまだ騒ぐほどではありませんが。ただ、このまま進みすぎてしまうのは当然抑えるべきです。

デメリット面もまとめましょう。

 

物価の高騰を招きやすい

円安が進むと「海外の通貨」が手に入りづらくなります。

単純に言えば、外貨の価格が上がってしまうからです。

そうすれば、食料品の多くを輸入に頼ってきた日本は、残念ながら外国から取り寄せることも難しくなります。

つまり、日本国内では「モノ不足」に陥る危険があると考えられるでしょう。こうした流れが最終的に「物価の高騰」を招きます。

現在は「ウクライナ危機」による世界規模で食料不足が進んでいる状態です。

円安で食料自給率の低い日本では、ダメージも大きくなることは予想できます。

 

日本商品が安売りされる

海外からしてみれば、円安である日本の商品は買いたい放題です。

これが貨幣経済を回す一方で、国内のモノ不足を加速化される可能性はあります。

特に輸出で規制がかかっている最中、モノの供給は条件が難しいかもしれません。

インバウンドで起こりうるデメリットは、最終的にモノ不足へ結びつくといえるでしょう。

とはいえ、消費活動を促進させなければ不景気は続くばかりです。供給側もある程度は対策を打っているはずですし、日本には安定した技術もあります。

これらのデメリットを考慮したとしても、やはり国内旅行者及びインバウンド観光客の呼び込みは必須です。

 

円安を対策する方法

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今すぐに円安を是正すべきではないと私は考えますが、このままズルズルと差が開いていくことは望ましくありません。

ある基準を境に価格を調整する必要はあるでしょう。ここでは、行き過ぎた円安を抑える方法について解説します。

 

金融引き締めを行う

1番手っ取り早い方法が、金融の引き締めです。貨幣供給量を抑え、金利を上げてしまえば「円安」は是正されます。

しかし、私は今の日本でこの対策は不適切だと考えています。なぜなら、日本国内の賃金率が改善されていないからです。

経済があまり回っていない以上、金利を上げてしまったら企業や個人がさらにお金を借りにくくなります。

起業や新事業の着手への道も断たれ、閉鎖的な活動が繰り返されてしまうでしょう。

だから、賃金面も改善しつつ円安を上手く調整することが必要です。

 

インバウンド政策を活用する

インバウンド政策も円安を抑えるのに役立つ方法のひとつです。海外の観光客を呼び込めば、それだけでも円安が是正されます。

その理由は、外国人による円買いが起こるからです。外国人がドルを手放して円を買えば、その分ドルと円の量が調整されます。

日本に来てお金を落としても、代わりに我々はドルをあげるわけではありません。

つまり、国内に円を供給してもらいつつ、換価でお互いの貨幣量の差を整える働きをインバウンドは持ちます。

私が思う、最も現実的で効果的な対策です。

 

原発を再稼働させる

現在、日本は電気がひっ迫している状態です。これは火力発電に頼っていた政策の落とし穴といえるでしょう。

東日本大震災を受けて、日本では原発を廃止しようとする動きが高まりました。

ただ、ウランは1gで石炭3トン、石油2,000リットルにも匹敵するエネルギー源です。

失った代償もまた大きく、今では懸命に「節電」を呼びかける古臭い対策を打っています。

エネルギーの宝庫であるロシアとは貿易が見込めない状況です。しかし、ウランであればオーストラリアやカナダから問題なく輸入できます。

そして、電気の供給が確保できれば電気代も問題なく下げられるはずです。日本のモノの供給も改善され、国民は消費活動も行いやすくなります。

そこから賃金を改善させれば、問題なく利上げもできるでしょう。アメリカとの金利差も解消される可能性も高まります。

しかし、原発は再稼働までに時間がかかってしまうそうです。

今から少しずつ取り組んで、せめて冬や来夏までに間に合うようなスケジュールになるかもしれません。

 

まとめ

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以上から、日本の円安は果たして本当に不利となるのかを解説しました。

円安そのものが悪いのではなく、対策の仕方によってはプラスに働きます。

メリットとデメリットを分析し、何を1番重視すべきか科学的に考えることが必要不可欠です。