公務員試験の専門科目で、法律と並んで重視されているものが経済学です。経済学にはミクロ経済学とマクロ経済学、財政学があります。
ただし、ミクロ経済学とマクロ経済学の違いがあまり分からない方もいるでしょう。マクロ経済学については、以前私の書いた記事でも簡単にまとめています。
経済学の内容を正しく理解するには、これらの相違点を押さえることが大切です。
今回は、ミクロ経済学とマクロ経済学の違いを解説しましょう。
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ミクロ経済学とは
分かりやすく解説すると、ミクロ経済学は「個々」を対象にした学問です。主な例として、以下のようなものが具体例として挙げられます。
- 家計
- 企業
個人の収入にどう影響するか、価格の変化で商品の購入量はどの程度変わるかなどを分析するのが特徴です。
ミクロ経済学は、次の3つに大別されます。
- 消費者の視点
- 生産者の視点
- 市場全体の視点
今勉強している範囲が、どの視点に立ったものかを確認しながら理解しましょう。
消費者の視点
消費者とは、商品を購入する立場のことです。コンビニで買い物をする私たちが該当します。企業が商品を多く売るには、消費者の気持ちを考えなければなりません。
一般的に商品は、値段が安くなった方が多くの人に購入されます。しかし、あまりにも値段を下げすぎると企業の利益に繋がりません。
消費者のニーズを上手く把握しつつ、適切に値段設定する必要があります。消費者が「この値段なら買ってもよい」という価格を見つけることが大切です。なお、このような価格は均衡価格と呼ばれています。
ミクロ経済学では、消費者視点での分析も数多く進められています。特に、効用関数の内容は試験でも問われやすいので、優先的に勉強してください。
生産者の視点
生産者とは、商品の生産活動を行う立場です。主に「企業」が例として挙げられます。
生産者は自社の商品を購入してもらうことで利益を得ます。多くの利益を得るには、理屈として商品の数も増やさなければなりません。
しかし、生産活動にも一定のコストがかかります。商品が買われていないにもかかわらず、生産を続けても無駄な出費が増えるだけです。
そこで、費用対効果を高めるために企業がどう生産活動を行うかをミクロ経済学では分析します。特にメジャーな内容は、操業停止点と損益分岐点です。
他にも、不完全市場で重要なクールノー均衡やシュタッケルベルク均衡も押さえておくといいでしょう。
市場全体の視点
市場(しじょう)は、消費者と生産者が売買を行う場です。野菜や魚を小売業者に販売する場である市場(いちば)とは異なります。
市場(いちば)は、経済学の観点でいえば市場(しじょう)の一種です。漢字は同じですが、読み方と意味が異なるので注意してください。
ミクロ経済学では、市場全体の分析も行われます。余剰分析やパレート最適がその一種です。
このようにカテゴリをまとめれば、ミクロ経済学も理解しやすくなると思います。
マクロ経済学とは
一方で、マクロ経済学は国や世界「全体」を対象とした学問です。GDPの話に始まり、財政政策や金融政策などを幅広く捉えます。
また、経済学者の所得に関する考察を覚えることもマクロ経済学の重要な内容です。
- ケインズ
- デューゼンベリー
- モディリアーニ
- トービン
これらの学者が唱えた考え方も勉強します。
ミクロ経済学は数学の勉強
ミクロ経済学は、マクロ経済学と比べて計算問題が多いといえます。特に、数学の勉強は復習しなければなりません。
なお、数学を簡単に勉強したい場合は下記の参考書がおすすめです。ただし、公務員試験の経済学は基本的な内容しか使わないため、難問レベルまで手を出す必要はありません
公務員試験では「数学」も出てきますが、数と式や確率などと問われやすい部分さえ押さえるだけで対応可能です。
リンク
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よく使われる計算方法は以下の3点です。
- 連立方程式
- 微分
- 指数関数
これらに加え、一次関数と二次関数のグラフの特徴は押さえておくといいでしょう。
連立方程式は頻繁に使う
ミクロ経済学およびマクロ経済学は、さまざまな場面で連立方程式を使います。その理由は、2つのグラフの接点を求める問題が多いからです。
ミクロ経済学の例として、均衡価格が挙げられます。需要曲線と供給曲線の接点における価格のことです。
マクロ経済学でも、IS-LM分析でよく使います。中学校で習う範囲のため、確実に正解できるよう練習しましょう。
「最大・限界」=「微分」
ミクロ経済学を中心に以下の問題が出されます。
- 最大となる値を求めよ
- 限界費用を求めよ
このように、「最大」や「限界」の文字が現れたら微分を使うと覚えましょう。
微分は、指数も使う特殊な計算方法です。例えば、以下のような数式があったとします。
微分の方法は、大きく分けて次の2点を押さえてください。
- 指数の値を係数にかけ算する
- 指数の値にそれぞれ「−1」をする
であれば、指数の「3」を係数「2」にかけ算します。その後、指数の「3」に「−1」をしましょう。すると答えはになるはずです。
他の項も同じように計算すると、微分した式は
と表せます。
微分は、二次関数(曲線)における接線の傾きが求められます。価格が1単位上昇した際、購入量がどのように変わるかを捉えたいときに使える手法です。
指数関数は基本が大事
ミクロ経済学を中心に、基本的な指数法則は確実に押さえたほうが安心です。例えば、次の数字はどのように求められるか解くことはできますか?
②
1/2乗や「-2乗」に戸惑いを隠せないかもしれません。これらの法則をしっかりと覚えることが難問を解くカギです。解き方を簡潔にまとめてみました。
- 指数がマイナスの場合は「逆数」
- 指数が分数の場合は「√(ルート)」
①の場合は、なので係数の逆数を取ります。
逆数を取った値がです。
さらに4を2乗するため、最終的な解はと表せます。
②は指数が分数になっているため、係数の平方根を取りましょう。4の場合、平方根を取ると√4で答えは「2」になります。
基礎に立ち返り、複雑な指数が出題されても解けるよう復習しましょう。
勉強はどちらからでもOK
「ミクロ経済学とマクロ経済学はどちらから勉強すべきか」と悩む方も一定数いるでしょう。
個人的には、特に順番を意識する必要はないと思います。公務員試験では、2つの学問がリンクすることもあまりないからです。
一般的には、ミクロ経済学から勉強する人が多い印象です。実際に、ミクロ経済学はイメージしやすいため、スタートにふさわしいのかもしれません。
まずは、マクロ経済学との違いを確認し、それぞれが別の学問であると理解しましょう。そうすれば、お互いを区別させながら勉強できます。
公務員試験の受験予定者には、今の仕事を退職する方もいるはずです。
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まとめ
今回は、ミクロ経済学およびマクロ経済学の違いについて紹介しました。双方の学問は、対象としている範囲に大きな違いがあると押さえましょう。
そして、ミクロ経済学は計算問題がひたすら出題される学問です。もちろん暗記が必要な内容もあるため、総合的な力が求められます。