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罪刑法定主義の6つの派生原則|刑法の基本をわかりやすく解説

日本の刑法には、大前提として罪刑法定主義が採用されています。刑法を知るうえでは、この考え方から導かれる派生原則を押さえることが大切です。

この記事では、罪刑法定主義の派生原則6つをわかりやすく解説します。公務員試験や法学検定などで、刑法を勉強されている方は記事を参考にしてください。

 

罪刑法定主義とは

罪刑法定主義の考え方をわかりやすく説明した図

罪刑法定主義とは、罪に対してどのような刑罰を下すかは、あらかじめ法律で定めるべきとする考え方です。法律は不文法ではなく、成文法でなければなりません。つまり憲法や民法のように、文として規定される必要があります。

あらかじめ法律に規定されていないと、刑罰を下す際に司法が暴走してしまいます。検察や裁判官の気分次第で、軽い罪に重い刑罰が適用される世の中になりかねません。こうした狂いが生じないように、罪刑法定主義が用いられています。

 

罪刑法定主義の派生原則6つ

罪刑法定主義を理解するには、6つの派生原則を押さえておく必要があります。派生原則とは、罪刑法定主義から発展して導かれる考え方のことです。まずは、どのような原則があるかを並べてみましょう。

  • 慣習刑法の排除
  • 類推解釈の禁止
  • 遡及処罰の禁止
  • 絶対的不定期刑の禁止
  • 明確性の原則
  • 罪刑均衡の原則

それぞれの考え方について詳しく説明していきます。

慣習刑法の排除

慣習刑法の排除とは、刑法の法源を慣習や条理にできないといった原則です。つまり刑罰や刑期は、法律によって定めなければなりません。

しかし構成要件を解釈するにあたって、慣習や条理を考慮することは可能です。あくまで、直接的に定められない原則であると押さえてください。

なお慣習は伝統的な行動様式、条理は物事の道筋を指します。法律の勉強ではたびたび出てくる用語であるため、これらも併せて覚えるようにしましょう。

類推解釈の禁止

類推解釈とは、法律に直接定められていない場合、ほかに類似した法規や条文を適用することです。たとえば「自動車」通行禁止の道路がありました。この道路について、「『自転車』の通行を禁じる」といった考えを適用させようとするのが類推解釈です。

類推解釈が禁じられている理由は、被告人の権利を守るためです。したがって被告人にとって有利になる場合は、例外的に類推解釈が認められます

なお類推解釈に似ている言葉として、拡張解釈が挙げられます。拡張解釈は、法律で使われる用語を通常の意味より広く捉えることです。

主な例として、「車」の通行を禁じる道路がありました。自動車は原動機付きの乗り物を指しますが、車であれば車輪の付いた乗り物全般が該当します。そのため車の通行を禁じる際、自転車やキックボードも禁止にするのは拡張解釈に分類されます

遡及処罰の禁止

遡及処罰の禁止とは、実行時に適法だった行為について、法改正で違法となったときに蒸し返して罰するのを禁じることです。たとえば2012年4月より、有料で配信されている音楽などをダウンロードする行為が、刑事罰の対象になりました。

しかしAが、2008年あたりに音楽を違法ダウンロードしたとします。この場合は、Aに対して刑事罰を与えることはできません

遡及処罰が禁止される理由は、蒸し返しを認めると国家が国民の自由や権利を簡単に奪えてしまうためです。人々が安心して生活できるように、憲法第39条にも規定されています。

絶対的不定期刑の禁止

絶対的不定期刑の禁止とは、刑期を全く定めない刑罰の規定を禁じることです。たとえば詐欺の罪に対して、「拘禁刑に処する」だけ書かれていても、刑期がいつ終わるかわかりません。執行者の気分次第で、刑期を自由にコントロールできてしまうからです。

一方で相対的不定期刑については、特に禁じられていません。具体的には少年法第52条のように、刑期を長期・短期として規定することです。

明確性の原則

明確性の原則とは、刑罰法規をできる限り明確にしなければならない原則です。一般人から見ても、わかりやすいように定められている必要があります。

今の法律は言葉遣いが難しい部分もありますが、刑罰の対象になる行為や刑期は明確に定められています。これらが明確に見えてこない規定は、基本的に無効です。

罪刑均衡の原則

罪刑均衡の原則とは、刑罰の内容が犯罪の悪質性に照らし合わせ、合理的であるべきとする原則です。たとえば万引き犯に対して死刑が科せられるのは、刑罰があまりにも重すぎます。

この原則が適用されなければ、国家が国民に著しく重い刑罰を与えることも認めてしまいます。最高裁判例(猿仏事件)でも、法定刑は違法性の大小を考慮して、

 

罪刑法定主義を勉強するには

罪刑法定主義は、刑法の中でも最も基本的な分野です。司法試験用のテキストになりますが、こちらの本で筆者は勉強しています。

数あるテキストの中でも読みやすく、そこまで厚くないので簡単に持ち運べます。司法試験を受験される方、より深く刑法を学びたい方におすすめです。

 

公務員試験で刑法を勉強する方向けに、スー過去も紹介します。

 

ただし公務員試験の刑法は、出題数もそこまで多くないため、場合によっては捨てようと考えている方もいるでしょう。その場合は、無理して勉強する必要はありませんので安心してください。

 

罪刑法定主義のまとめ

罪刑法定主義を勉強する際には、まずは6つの派生原則を押さえる必要があります。いずれも重要な原則となるため、意味も併せて押さえるようにしましょう。

刑法は国民を罰する法律である以上、国家についても厳しく取り締まらないといけません。国家を取り締まる基本的な考え方が、罪刑法定主義に集約されていると考えてください。