どーも、ヤマトノです。前回は公務員試験の民法で代理についてまとめました。
記事の一覧を貼ります。ぜひ参考にしてください。
今回は無効と取り消しの違いを解説します。とはいえ公務員試験の民法の中では、そこまで出題されない分野です。
ただ、業種によっては出題される可能性もあります。
他の分野も踏まえ、必ず勉強するときは過去問を解きましょう。
この記事では、重要部分を中心にわかりやすく書きます。自分で勉強する際の参考にしてください!
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無効と取り消しの違い
まずは、無効と取り消しの定義の違いをわかりやすく記述しましょう。意味合い的には同じような感じもしますが、両者は大きく異なります。
短文でわかりやすくまとめるため、大体の意味を捉えてください。
- 無効→効果が発動しない
- 取り消し→効果が発動し得る
この点を踏まえて、それぞれの特徴を具体的に解説しましょう。
無効は効力が当初からなくなる
無効は法律を照らし合わせても、効果を持つのに相応しくない状態です。
つまり、効果は法律行為の当初から発動されません。そもそも、行為自体もなかったと捉えられるものが無効と覚えましょう。
取り消しは遡って効力を失う
取り消しは無効とは違い、一度は効果を発生させたうえで効力を失わせる手続きです。具体例として、制限行為能力者が挙げられます。
意思無能力者と制限行為能力者の違いが分からない方は、上述した『3つの能力』の記事を読み返してください。
民法の基本なので、3つの能力の違いは確実に押さえましょう。制限行為能力者の行為は、『法定代理人』が取り消すかどうかを判断します。
もし取り消しが行われたら、行為の当初に遡って効力が失われます。
しっかりと区別してください。
- 無効→行為の当初から効力は無い
- 取り消し→効力は遡って失われる
取り消しの返済の範囲
話を掘り下げて、「取り消し時の返済の範囲」を説明します。
ある法律行為が適切な理由で取り消されたら、既に代金等を貰っていた人は返さなければなりません。要するに、元通りの状態に戻します。
この手続きが「原状回復義務」です。
例えば、保護者の同意なく未成年者が車を買ったとしました。保護者が取り消しをしたら車の売買は、当初に遡って効果が失われます。
しかし、既に代金を支払った場合、相手側はどの程度返せばいいのでしょうか?
このような場合、以下の条件に従って返済範囲に違いが生まれます。
- 善意
- 悪意
それぞれの特徴から、どう返済範囲が変わるかを解説しましょう。
相手方が善意の場合
まずは相手方が善意の場合、つまり未成年者と知らなかったケースを想定しましょう。
善意のケースであれば、民法も相手側を保護するよう定めています。
勿論、お金を返しはするものの範囲的には「現に利益を受けている部分(現存利益)」です。
例えば、以下のケースが該当します。
- 貯金をしていた
- 生活用品を購入した
生活用品の購入が現存利益にあたることを意外と思うかもしれません。しかし、実際には「お金が商品に姿を変えた」だけです。
利益と考えれば同価値のものが手元に残るため、生活用品等を購入した場合も現存利益にあたります。
一方で、ギャンブルで浪費した場合は、利益が手元にないことから返す義務が働きません。
全額を浪費したら返済する金額も当然0円です。中には、このような処理方法を不自然に思う方もいるでしょう。
ただし、善意の相手方保護のために、回収の難しさを考慮した上での規定だと想定されます。
相手方が悪意の場合
善意・悪意の違いは答えられるでしょうか。念のため、善意と悪意の話をしている記事を紹介します。
簡単に説明すると、悪意は事実を知っていた人です。
未成年者である事実を知っていた場合、民法は基本的に相手方を保護しません。
そのため、浪費した分や利息も含めて、全額を返済する義務があります。
無効と取り消しの範囲に限らず、善意と悪意の取り扱いは試験で狙われやすいため備えておきましょう。
- 善意は現存利益のみ返済
- 悪意は利息分も含め全額返済
まとめ
公務員試験の民法における無効と取り消しの違いを解説しました。それぞれは効力が異なるため、区別して覚えてください。
あわせて、原状回復義務の善意と悪意の違いも確認しています。
他の分野でも適応できるので、勉強して損はない範囲です。