民法の総則において、特に押さえないといけないポイントが無効と取り消しの扱いです。試験で直接問われるのは少ないですが、民法のすべての「章」で問われます。
この記事では無効と取り消しの違いを解説します。
この記事では、重要部分を中心にわかりやすく書きます。自分で勉強する際の参考にしてください!
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無効とは
無効な法律行為とは、当初から効力のない状態のことです。そもそも効力を与えるのが望ましくない状態であるため、追認をしても効果が生じません。
ただし無効な法律行為であるのを知ったうえで追認すると、新たな行為をしたとみなされます。追認の内容は、以下の記事でも説明しているので参考にしてください。
取り消しとは
取り消しとは、効力が発生した行為をはじめから無効であったとみなすことです。取消権者や期間など、無効よりも細かく制限があるのがポイントです。
仮に取り消しで法律行為が無効になった場合、相手方は原状回復義務を負わないといけません。しかし制限行為能力者の返還義務は、現に利益を受けている限度に限られます。
制限行為能力者については、以下の記事で詳しくまとめています。民法の基本的な内容となるため、こちらも併せて参考にしてください。
無効と取り消しの違い
次に無効と取り消しの違いについてまとめます。無効よりも取り消しのほうが、覚えないといけないポイントが多くあります。
追認の扱いについて
先程も説明したとおり、無効な法律行為は追認をしても効力が生じません。例外的に新たな行為とみなされるのは、相手が無効であることを知っているときです。
一方で取り消しの場合、追認された法律行為は有効となります。追認したら当初から有効な法律行為であったとみなされる点も押さえましょう。
効果を主張できる人
法律行為の無効については、誰でも主張できるのがポイントです。相手側にも原則は制限がありませんが、以下の事例に当てはまるときは例外的に主張できないとされます。
- 心裡留保での善意無過失の相手方
- 虚偽表示での善意の第三者
一方で取り消しでは、取消権を有する人しか主張できません。制限行為能力者や意思表示に瑕疵のある人(錯誤・詐欺・強迫)が主に該当します。ただし保証人には取消権が認められないので、区別して覚えてください。
なお心裡留保や虚偽表示は、こちらの記事でも紹介しています。
主張できる期間
無効に関しては、主張できる期間は特に定められていません。条件に該当すれば、いつでも法律行為が無効になりうると考えましょう。
取り消しの場合、主張期間は次のように民法で規定されています。
- 追認できるのを知ったときから5年間
- 行為のときから20年間
無効と取り消しの内容を勉強する際には、以下のテキストを使うことをおすすめします。
無効と取り消しのまとめ
公務員試験の民法における無効と取り消しの違いを解説しました。それぞれは効力が異なるため、区別して覚えてください。
併せて追認したときの関係や主張権者および主張期間についてもまとめています。民法ではたびたび出てくる内容になるので、定期的に見直すようにしましょう。