公務員試験のミクロ経済学では、無差別曲線も非常に重要なポイントです。
本番でも問われやすいため、理屈をしっかりと押さえましょう。
ここでは、以下の項目についてわかりやすく解説します。
- 無差別曲線の特徴
- 予算制約線
- 最適消費点との関係性
記事を読んで、本番で点数を取れるよう対策してください。
無差別曲線とは?
無差別曲線とは、「2つの財を選ぶときに効用が等しくなる関係性」を示したグラフです。
定義を説明したところで、ちんぷんかんぷんな方がほとんどでしょう。初心者でもわかりやすく説明します。
具体例を出して考えてみよう
例えば、リンゴとミカンを買うとしましょう。
リンゴ1個で効用が4、ミカン1個は効用が3上がるとします。
ちなみに、効用は「満足度」のことです。以下の記事でも紹介しているので復習してみてください。
ここで、効用が20になるよう組み合わせるとします。
単純にリンゴを5個買うだけでも、5×4で効用は20です。一方で、リンゴを2個とミカンを4個の組み合わせでも効用が20となります。
この関係性をグラフで表したものが無差別曲線です。
基本的には反比例のグラフ
無差別曲線には、さまざまな形があります。そのため、必ずとはいえないものの基本的には反比例のグラフを描きます。
このグラフ上では、効用がすべて同じです。(XとYの財があると仮定)
点がAに行こうが、Bに行こうが得られる満足度は変わりません。
ただし、予算制約線が現れると無差別曲線にも新たな考え方が生まれます。内容をさらに掘り下げて説明しましょう。
右に上がれば効用も上がる
無差別曲線で効用が上がる様子を表す場合は、右方向に動かす必要があります。
要は財Xと財Yの2つとも、購入できる数が増える状態です。
無差別曲線は平行移動により、効用も変化すると押さえてください。
これから解説するミクロ経済学の応用にも使う考え方です。
問題を解きながら性質に慣れていきましょう。
予算制約線とは?
予算制約線とは、名前のとおり予算による制限を示したグラフです。
ミクロ経済学では、お金を使い切ることが最も効用を高くすると考えられています。
皆さんも服を買うときは、なるべく多くのものを手に入れたいと考えるはずです。
しかし、現実には予算があるため買える金額は限られてしまいます。我々がどこまで商品を購入できるかを1つのグラフで示せます。
では、無差別曲線との関係性を細かく見ていきましょう。
予算制約線は右下がりのグラフ
まず、予算制約線は図のように右下がりのグラフとなります。
公務員試験の問題では、「mm'は予算制約線を示す」と書かれている場合もあります。とはいえ、グラフの特徴は押さえておく方が望ましいでしょう。
このグラフよりも外側(上側)の領域は、予算オーバーの範囲です。したがって、原則として商品を購入できません。
予算制約線と最適消費点
無差別曲線を描く際にも、予算制約線の範囲内で効用を高める必要があります。
では、最も効用が高くなるポイントはどこでしょうか?
正解は予算制約線上です。
つまり、無差別曲線は予算制約線に接する形で描けば効用が最大になります。
このお互いのグラフの接点が最適消費点です。
無差別曲線の応用
ここまでは、無差別曲線と予算制約線の定義を簡単にまとめました。
ただし、実際の公務員試験では最適消費点を使った難しい問題が出題されます。
基礎を押さえた上で、応用問題にも対処しなければなりません。
1つ事例を出し、無差別曲線の考え方をマスターしましょう。
予算制約線のシフト
予算制約線は2つの要因によりシフトします。
- 財の価格の変化
- 所得の増減
まずは、財の価格の変化を見ていきましょう。
例えば、財Xの価格のみが減少したとします。
「価格が下がる」ということは、単純に考えれば購入できる量が増えます。
この関係性は、いざ問題を解くとなると混乱しやすいポイントです。
落ち着いて対処してください。
話を戻すと、購入できる量が増えるため予算制約線の範囲が広がります。
加えて、財Xしか価格は下がっていないことから以下のような変化を引き起こします。
理屈を押さえておけば、グラフが変化する理由もわかるはずです。
続いて、「所得の増減」を見ましょう。
財の価格が変化せずとも、単純に所得が増えれば多くの商品が購入できるようになります。
こちらも予算制約線の範囲が広がるケースのひとつです。
ただし、1つの財の価格が変化した場合とは異なり以下のような変化を示します。
最適消費点の移動
予算制約線が変化するに従い、無差別曲線の位置もまた変わります。
つまり、最適消費点もあわせて動かさなければなりません。
例えば、単純に所得が増えたとしましょう。
予算制約線はm0からm1に変化しました。
その場合、最適消費点もAからBの位置へ移動します。
こうした関係性を押さえておくだけでも、実際の試験において選択肢を絞れるはずです。
限界代替率との関係性
無差別曲線を勉強する際に、「限界代替率」という言葉が出てきます。
限界代替率は、例えば財Xの消費量を1増やしたとき、同じ効用を得る財Yをどの程度変化させるかを示す数値です。
無差別曲線が一般的な凸型の形を示す場合、限界代替率は財X(片方の財)の増加に対して下がります。
この現象が限界代替率逓減の法則です。
最適消費点では各財の限界代替率と価格比が等しくなります。効用を最大化するにあたり、財の価格が最適な状態です。
これらの特徴も押さえれば、正答に大きく近づけるでしょう。
多種多様な無差別曲線
無差別曲線も、状況に応じて形が異なります。情報量が多いかもしれませんが、覚えておいて損はありません。
特に以下の5種類は頭に入れましょう。
- 凸型
- 凹型
- L字型
- 右下がり
- 円型
これらの特徴を詳しく説明します。
凸型は基礎的な形
凸型の無差別曲線は、先程から何度も紹介している形態です。
原点方向に向かって膨らんでいるグラフを指します。
- 右方向に移動すると効用が高まる
- グラフ線上では効用は変わらない
このような基本的な知識は、しっかりとおさらいしてください。
凹型は1つの財のみを消費
凹型の無差別曲線の特徴は、1つの財のみを消費している点です。例えば、ビールとワインのどちらを購入するかで無差別曲線をつくります。
お酒が好きでも、ワインは体質に合わず自分では買わないと思う方もいるはずです。
この場合、ビールのみを消費すると考えられるため凹型の無差別曲線が描けます。
L字型の無差別曲線
無差別曲線を勉強するうえでは、L字型も覚えておくべき種類のひとつです。
こちらは、2つの財があるときに両方とも買わないと成立しないものを表します。
よく具体例として挙げられる製品が「ボルトとナット」です。ボルトのみを購入しても、ナットがなければ連結ができません。
このように2つあってはじめて役割を果たせる財には、L字型の無差別曲線が使われます。
右下がりの無差別曲線
無差別曲線が右下がりの曲線に描かれるときは、2つの財が完全代替財であることを意味します。
代替財は、お互いに同じ目的で使われて替えが利く財です。例えば、食パンに塗る「バター」と「ジャム」の関係が該当します。
右下がりの無差別曲線は、完全代替財であるため2つの財の価値は全く平等でなければなりません。
例えるとすれば、「100円1枚」と「50円2枚」です。
円型の無差別曲線
最後に紹介する種類が円型の無差別曲線です。
名称のとおり、円を描いて財の関係性を調べます。こちらは飽和状態を表すときに役立つグラフです。
例えば、ハンバーガーとピザの財があるとします。ジャンクフードを2つとも食べようとしても、脂っこくて口に入らない方もいるはずです。
このように飽きがきてしまう財の特性を可視化したグラフが円型の無差別曲線です。
ちなみに円の中心は「飽和点」と呼び、外に広がるほど効用が下がっている状態を示しています(効用が下がることを想定した珍しいタイプです)。
まとめ
今回は、ミクロ経済学から無差別曲線について勉強しました。
これからミクロ経済の学習を進めるうえで、基礎にあたる重要な分野です。以下の特徴は必ず覚えてください。
- 線上では効用は変わらない
- グラフが右上に動くと効用が高まる
また、無差別曲線にもさまざまな種類があります。これらの特徴を押さえ、公務員試験で問われても正答できるよう準備しましょう。
今後もミクロ経済学の内容について紹介します。何かミスなどがありましたら、コメントなどで教えてください。
- 無差別曲線の特徴を捉える
- 最適消費点との関係性を知る
- 限界代替率の意味を理解する
- 無差別曲線の種類を把握する