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北方ジャーナル事件とは?最高裁の判決をわかりやすく解説

憲法の表現の自由を勉強するうえで、必ず押さえないといけない事件の一つが北方ジャーナル事件です。行政書士試験でも狙われたことがあるので、今後の試験対策としてチェックしなければなりません。

この記事では、行政書士試験に一発合格を果たした筆者が、北方ジャーナル事件における最高裁の判決をわかりやすく解説します。行政書士試験を受験される方は、ぜひ今回の内容を参考にしてください。

 

北方ジャーナル事件とは

北方ジャーナル事件とは、書籍の発行を裁判所が事前に差し止めたことで、訴訟に発展した事件です。媒体(雑誌)の名称が「北方ジャーナル」だったため、このような事件名が付けられました。

事件の概要を説明すると、北海道の知事選挙に立候補していた方が、自身を誹謗中傷する記事が掲載されるのを知りました。そこで裁判所に対し、雑誌の発行を差止め(仮処分)するよう求めます。

一方で北方ジャーナル側は、裁判所による事前差止めは検閲にあたると主張しました。こうして北方ジャーナル事件は、最終的に最高裁まで争われるようになります。

 

北方ジャーナル事件の最高裁判決

北方ジャーナル事件では、知事選挙に立候補しようとしていた方が勝訴しました。つまり裁判所の事前差止めは、検閲にあたらないと判断されたのです。最高裁の判決について、詳しく見ていきましょう。

司法の差止めは検閲にあたるか

まず見ておきたいのが、司法裁判所による事前差止めが検閲にあたるかです。最高裁判例では、検閲は行政権が主体となって発表前に審査がなされることと捉えました。

司法による事前差止めは、当事者の申請に基づき、私法上の権利や保全の必要性を判断して発せられるものです。したがって検閲にはあたらないとされました。検閲の詳しい説明については、以下の記事を参考にしてください。

差止め請求権の可否

次に司法による事前差止めが、法律上認められるかを見ていきましょう。誹謗中傷された側は名声や信用、名誉を違法に侵害された場合、名誉権(人格権)を守るために差止めを請求できます。

人格権は、物権と同じく排他性を有する権利の一つです。したがって赤の他人によって侵害されそうなときは、差止め請求権を行使して権利を守れます。

名誉権と表現の自由

記事の事前差止めがなされると、発行者側の表現の自由と衝突する形になります。特に知事選挙に立候補した者の記事であるため、内容は公共的事項に関するものです。公共的事項に関する表現の自由は、原則として憲法上尊重されないといけません

一方で表現の自由は、無制限に保障していないのも事実です。他人の名誉を侵害する表現は、表現の自由の濫用として規制されることはあります。

ただし公共の利害に関する事実であり、公益を図るのが目的であれば、故意・過失がないと判断されます。その際には真実である証明を必要としますが、仮に誤信したとしても相当な理由があったら規制から免れます。表現の自由については、以下の記事でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

司法の事前差止めと表現の自由

司法の事前差止めは、厳格かつ明確な要件のもとに許容されるのがポイントです。事前差止めは、新聞や雑誌といった表現物を抑止して、公の批判の機会を奪ってしまいます。

特に事前差止めとなれば、事後差止めよりも濫用の恐れが高くなるのが特徴です。したがって表現の自由を守るためにも、条件をより厳しく設定しています。

事前差止めができる要件

出版物の対象が公務員の評価や批判に該当するとき、公共の利害に関する事項と捉えることが可能です。表現の自由は私人の権利を優先するため、原則として公共の利害に関する事項での事前差止めは許されません

一方で表現内容が真実ではなく、公益を図るのが目的でないケースもあるでしょう。さらに被害者が、重大にして著しく回復困難な損害を被ることもあります。こうした実体的な要件に該当するときは、例外的に事前差止めをしてもOKです。

最高裁判例の結論

以上から北方ジャーナル事件では、裁判所の事前差止めが手続きにおいて憲法上の要請を欠いていないと判断しました。したがって事前差止めが、違憲または違法という主張が認められないとジャッジします。最終的に裁判所の事前差止めは合憲とし、北方ジャーナル側は敗訴する形となりました。

 

北方ジャーナル事件まとめ

北方ジャーナル事件を勉強する際に押さえてほしいポイントが、裁判所の事前差止めが認められるかどうかです。表現物が公共の利害に関する事項であれば、原則として事前差止めは認められません。

表現の自由を認めるために、要件も厳格といえます。しかし表現内容が真実ではなく、公共を図るのが目的といえないときは、例外的に事前差止めをすることも可能です。

そもそも北方ジャーナル事件では、司法の事前差止めが検閲にあたるかが争われました。結果的に最高裁は検閲とは認めず、上告を破棄しています。その中で事前差止めの要件を述べたと捉えてください。