ヤマトノ教室

公務員試験・資格試験、受験、金融教育をサポート 

宿題代行サービスは違法なの?学校からはどう指導されている

小学生や中学生の子どもを持つ親は、宿題に悩んでいる姿を見て思わず手を貸したくなることもあるでしょう。

今回の記事では、違法か否かが問題視された宿題代行サービスについて書いてみます。

夏休みや冬休みを中心に、長期休暇中に宿題代行サービスを考えている方はこの記事を読んでみてください。子どもにとっての宿題の大切さを改めて認識し直しましょう。

 

宿題代行サービスは違法?

f:id:yamatono11:20210131161535j:image

2014年、教育評論家で有名な尾木ママが『宿題代行サービス』についてれっきとした詐欺罪だ!と発言したのが話題となりました。

少しずつSNSでも取り上げられる機会は減ったように感じますが、未だ代行サービスを使っている方はゼロではないと思います。

ここで、宿題代行サービスは違法なの?と疑問を抱く方も一定数いるでしょう。この回答について、以下の罪と照らし合わせながら解説します。

  • 詐欺罪
  • 私文書偽造罪
  • 信用毀損罪・業務妨害

いずれも刑法において定められている罪であり、破ると罰則が適用されます。

これらの罪と照らし、宿題代行サービスに当てはまられるのかを個別ごとに検証しましょう。

詐欺罪

まずは詐欺罪ですが、原則として宿題代行サービスには該当しないとの考え方が一般的です。

詐欺罪は刑法246条に規定されています。

刑法246条

人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

引用:e-Gov法令検索

詐欺罪は他人を騙して財物、つまり金銭等のような財産を受け取った人に課さられる刑罰です。

宿題代行サービスは教師を欺いたとはいえますが、教師から金品等を受領しているわけではありません。あくまで保護者からお金を貰っています。

保護者に対してはきちんとニーズに応えているので、この関係自体にも騙しているような様子は無いですよね。

児童やその保護者も、偽った作品を使った金儲けは基本的に不可能です。

刑法の基本的な考えとして、構成要件該当性にあたらない限りは適用されません。行為が規定されている犯罪を形作るものでなければ、罰せないとされています。

尾木ママも揶揄のつもりだったと思いますが、刑法的には宿題代行サービスは詐欺とはいえません。

仮にコンクールで賞を取って、「金でできたトロフィー」とかをゲットしたら違法となるかもしれません。とはいえ、さまざまな見解があるので実際に処罰されるかは別の話です。

私文書偽造罪

私文書偽造罪の観点でも、宿題代行サービスを違法とみなすのは難しいと考えられています。こちらの条文は以下のとおりです。

刑法第159条

行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。

引用:e-Gov法令検索

要点をまとめると、以下の4つに分けられます。

  • 使用する目的で
  • 他人の印鑑や署名を利用して
  • 権利や義務、事実証明を得るために
  • 文書を偽造

では、宿題代行サービスが上記の4点に触れるかを確認してみましょう。

まず、宿題代行サービスとはいえ宿題の名前は児童・生徒が自分で記載するはずです。そのため「署名を利用して」の構成要件は満たさなくなります

また「権利や義務、事実証明を得る」というポイントが難しいとも考えられます。宿題をしたところで、児童は何か権利を得られるわけではないためです。

確かに、成績には響くでしょうけど、これだけでは構成要件該当性は弱いと考えます。コンテストで賞を取ったら話は変わるものの、どちらにせよ「署名を利用して」で要件から外れるでしょう。

宿題は、文書と認識するのは難しいといえます。

仮に入学試験であれば、替え玉受験をすると「合格」という権利が得られます。入学試験の場合は、最高裁判所でも私文書偽造罪の構成要件を認めました(最高裁平成6年11月29日)。

参照:裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

信用毀損罪・業務妨害

宿題代行サービスでは、信用毀損罪や業務妨害の観点においても違法と判断するのは極めて難しいでしょう。当該刑罰は、刑法223条に規定されています。

刑法223条

虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

引用:e-Gov法令検索

まとめると、以下の要素を満たす場合に構成要件該当性が認められます。

  • 根拠のない情報を流すor他人を欺いて
  • 信用に傷をつけ、または業務を妨害

基本的には、宿題代行サービスで教師の業務は妨害されません。そのため、刑事はおろか民事上で罪を問うのも厳しいと思われます。

もちろん、以下のケースも起こるかもしれません。

  • 成績を付け直した
  • コンクールの記録を修正しなければならなかった

この場合、教師は仕事が余分に増えてはいるものの、業務妨害と判断する程まで達していないと考えられます。

 

 

宿題を1人でやる意義

僕自身、宿題が有意義かどうかは、量も踏まえて検討の余地はあると思っています。

しかし、課題というものは、自身が中心となってやるものです。そう書くのには、ある理由があります。

苦手な分野が分かる

宿題を1人でやる意義は、苦手な分野を自分自身で理解できるためです。ここで、筆者の苦手分野について紹介しましょう。

筆者が、本当に苦手としているのは絵を描くことです。

f:id:yamatono11:20210131162327j:image

(力作:セーラームーン)

このような絵しか今も書くことができませんが、センスの欠片もないなと感じたのは夏休みの絵の宿題でした。

当時祖父が飼っていた犬の絵を描いたところ、人間よりも体の大きい化け物が誕生しました。そのデカい犬に追いかけられて、人々が逃げ惑うような絵になっており親に笑われた記憶があります。

確かに当時は恥ずかしかったものの、こういう宿題があったこそ自分をよく知ることができたと思っています。

宿題は、子どもが自分自身の長所と短所を把握できる良い機会です。保護者は、あくまでサポートとして見守る姿勢を貫いた方が望ましいでしょう。

ただ、これにも条件があって、「作品を完成させるヒントを与える」ということに尽力しましょう。

たまに、数十年越しのリベンジと言わんばかりに一から十まで作ってしまう保護者も一定数います。あくまで子どもの作品であることを念頭に置いてください。

期限厳守は社会人も必要

社会に出たら期限を守りつつ、仕事をこなすことが求められます。その点では、宿題は社会人になったときを想定したトレーニングの一つです。

自ら計画を立て、いつまでにドリルの何ページを終わらせるかなどとイメージします。

仮に予定どおりに進まなかった場合は、次の長期休暇に向けての反省材料にもなります。

子どもが宿題をサボりまくっているのなら、一度教師に怒られた方が将来において役立ちます。苦い記憶にもなるかもしれませんが、こうした経験が自分自身を成長させてくれる要素の一つです。

 

まとめ

この記事では、宿題代行サービスの違法性について詳しく紹介しました。ここで取り上げた刑法の条文は、以下の3点です。

  • 詐欺罪
  • 私文書偽造罪
  • 信用毀損罪・業務妨害

これら全ての刑罰において、宿題代行サービスは違法とはいえないと結論付けられます。

無論、今後で違法と認められる判例も出てくるかもしれません。ただし、その事例も極めて稀なケースであると想定できます。

いくら宿題代行サービスが違法にならなくとも、学校の宿題は将来において重要なものです。できる限り、自分の力で進めるのをおすすめします。