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消費税減税はなぜしない?メリットとデメリットを客観的に解説

食料品の価格が上がり続けている昨今、消費税減税をなぜしないのか疑問に感じる人もいるでしょう。しかし消費税の議論においては、主観的な立場から語られることが多く、あまり前に進まないケースがほとんどです。

そのためこの記事では、消費税減税のメリット・デメリットをわかりやすく客観的に解説します。その後、僭越ながら自身の意見をまとめていきます。日本経済を勉強されている方は、ぜひ記事を参考にしてください。

 

消費税減税はなぜしない?

自民党が消費税減税をしないのは、さまざまな考え方があるとされています。ここでは賛否に関しては触れず、自民党の考えをまとめていきましょう

社会保障を守る財源となる

自民党が消費税減税に踏み込減まない理由は、社会保障の財源を守るためです。皆さんも知っているとおり、日本では少子高齢化が加速しており、一人あたりの年金も増えています。

したがって消費税減税をしてしまうと、その分の金額を社会保険料から補填しなければなりません。そうすれば年金や国民保険といった金額も、どんどん上がってしまうわけです。

消費税は、買い物をする人全員が負担します。所得の高低に関係なく、国民全員から等しく納めてもらえる税金です。そのため政府にとっても、財源を確保するうえで便利な種類といえます。

なお、税がそもそも財源ではないと捉える人もいます。税が財源かどうかは、以下の記事でも説明しているので併せて参考にしてください。

物価の上昇を招く

消費税を減税した場合、物価の上昇を招きやすくなるのも自民党が懸念している要素の一つです。単純に考えると10%から5%に下がった場合、1万円の商品を買うときに税込11,000円から税込10,500円と総負担額が少なくなります。

つまり国民の商品に対する需要が増加すれば、理論的には購入量が増えていきます。そこに供給が追いつかなければ、モノ不足のリスクも高まるでしょう。

生産者からしても、商品が売り切れ状態になるのは避けなければなりません。食料品価格が上昇しているなか、さらなる物価高を避けたいというのが自民党の考えです。

 

消費税減税のメリット

ここで紹介した自民党の考えは、消費税減税のデメリットにも直結します。しかし実際に減税の議論をするには、メリット面も見ていかないといけません。消費税減税により、どのようなメリットがあるかをまとめていきましょう。

購買力が増加する

消費税減税のメリットとして挙げられるのが、商品の購買力が増加することです。物価が高くなっていくと、皆さんも商品を購入するのに躊躇(ちゅうちょ)するでしょう。

そこで消費税減税をすれば、消費者の負担をある程度は下げられます。したがって減税前と比べたら、購買力が増加する可能性にも期待できるわけです。

そもそも消費者が商品を購入してくれないと、生産者側も商売が成り立ちません。生産者を救うという観点から見ても、消費税減税が望ましいという意見もあります。

GDPの増加に期待できる

国内の経済力を測るうえで、有名な指標の一つがGDP(国内総生産)です。GDPの計算方法は主に3つありますが、その一つに「Y=C+I+G+EX−IM」があります。

そのうち「C」とは国民消費を指しており、具体的には「c(Y-T)」で計算されるのが特徴です。「Y」は国民所得を指し、GDPと同じ値となります。さらに「T」は、税金を指します。

つまり「(Y-T)」とは、税金により国民所得が下がることを示した数式です。反対に税金を少なくすれば、その分国民所得が増加しうる旨も示されています。あくまで数式上の話ではあるものの、消費税減税もGDPの増加に貢献できる可能性があるわけです。

以上から国民の生活を豊かにするには、消費税減税が必要と訴えられています。なおGDPの詳しい解説については、以下の記事を参考にしてください。

 

消費税減税は必要なのか

ここまで、消費税減税のメリットとデメリット(自民党が減税しない理由)を簡潔に説明しました。次は日本において、消費税減税が必要かどうかを考えていきましょう。

食料品高の原因を考える

消費税減税するかどうかを判断するには、食料品高の原因を考えないといけません。しかしさまざまな理由が混ざり合っているため、一つにまとめることはできません。

その中でも、主な原因となっているのが気候や国際政治による供給力不足です。近年は世界的に緊張関係が続いているため、食料品の供給が止まりつつあります。

また天候不順に伴い、農作物が思うように取れない地域も出ています。こうした供給力へのダメージが、食料品の価格にも響いているのです。

この状況を乗り越えるには、供給量を増加するのが望ましいといえます。とはいえ供給は需要とは異なり、すぐに増やせるものでもありません。天候や国際情勢など、自分たちの力ではどうしようもできない要因が絡んでくるためです。

国民の生活の視点で考える

消費税減税で国の経済の改善は難しいといえる一方で、国民の生活に視点を切り替えて考えてみましょう。実は工夫次第では、消費税減税が生活に良い効果をもたらす可能性があります

その方法とは、ある商品に限定して消費税を減税することです。特に日本で価格高騰が続いている食料品は、一番の候補として挙げられます

2025年時点では、食料品の購入は8%の軽減税率が用いられています。しかしイートインについては、10%が適用されるといった中途半端な制度です。

手始めに、イートインもすべて「8%」を適用する方法が現実的といえます。消費者も総負担額が安くなりますし、店側はいちいち計算を分ける必要がありません。

もちろん「5%」が望ましいという意見もあるはずですが、まずはテイクアウトとイートインの税率を揃えるのが前提です。そこから税率について、考えていくのが望ましいでしょう。

社会保障の視点で考える

デメリットにも挙げた社会保障ですが、本当に消費税減税で影響が出るのかを一度考えないといけません。ここでポイントとなるのが、現段階での社会保障費の合計です。

財務省の資料によると、社会保障関係費は令和7年度の予算は38.2兆円に達しました*1。平成24年度から見ても、右肩上がりに上昇しています。なお社会保障関係費において消費税(公費)は、約4割を占めるといった資料も示されました*2

そもそも消費税を社会保障関係費に使う意味を考える必要もありますが、現行の制度を続けるのであれば消費税をゼロにするのは

難しいでしょう。しかし減税によって購買力を高め、結果的に税収を増やすといった考え方もあります。

特に令和5年度では、不用額が3兆円を超えたデータも示されました*3。したがって多少の減税は、そこまで大きなダメージを与えないことも考えられます。

 

消費税減税に関する個人的見解

個人的に消費税は、すべてゼロにするのは難しいと考えています。日本の税金の中でも、歳入の割合が最も高くなっている以上、代わりの税金を見つけるのは困難なためです。

したがって食料品などに限定して税率を下げるのが現実的といえます。その一歩として、イートインを8%にするのが手っ取り早い解決策だと考えます。あとは状況を見ながら、5%への引き下げを検討してもよいかもしれません。

インボイスと軽減税率について

日本では、2023年10月からインボイスがスタートしました。インボイスとは個人事業主や中小企業にも消費税を納めさせるべく、インボイス発行業者に納税を課す制度です。

そもそもインボイスが始まった要因として、軽減税率が発生したことも挙げられます。現行の消費税は8%と10%の2パターンがあるため、これらを正しく区別しなければなりません。納税ミスが起きないように、インボイスの導入が進んでいったのです。

インボイス廃止と消費税の関係

個人事業主や中小企業の経営者からすれば、インボイスをすぐに廃止してほしいと感じる人もいるでしょう。こうした声も拾う際には、全商品の消費税率を一律8%に下げる考え方もあります。

しかしインボイスの廃止と消費税減税の2つを、自民党が検討することは現実的に考ると期待できません。そこでインボイスの廃止を優先したいのであれば、一律10%へ引き上げてしまうといった方法も考え方の一つです。

とはいえインボイスと消費税減税の選択は、生産者と消費者の立場で意見も異なるはずです。この溝はなかなか埋まりにくいため、どちらの意見を取るかは慎重に判断する必要があります。

 

経済学の勉強でおすすめな本

経済学を勉強するには、まずは一般的なテキストを用いるのをおすすめします。客観的な視点から経済学を学び、そこから各経済学者の理論を見てみるとよいでしょう。

 

ほかにも個人的には、高橋洋一氏の書籍が初心者向けにわかりやすく説明されていると感じました。一般的なテキストを読んだあと、より深く経済学を知りたい方はこちらも確認してください。

 

消費税減税のまとめ

消費税減税について、国民の生活の実態を捉えたうえで工夫しながら実行するのが望ましいでしょう。確かに消費税減税は、社会保障や物価の観点からすると、簡単に廃止できるものではありません。

しかし減税をすることによるメリットにも、きちんと目を向けていく必要はあります。マクロ経済学を押さえ、今後の政治について調べていくようにしましょう。

*1:令和7年度社会保障関係予算のポイント(参考資料:P4)|https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2025/seifuan2025/13.pdf

*2:社会保障給付費と社会保障関係費の関係|https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001532328.pdf

*3:社会保障関係費|https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/account/fy2023/kessan_05_04.pdf