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大阪市の上海電力の問題とは?行政の手続きに違法はあるのか

以前、大阪市の上海電力を巡ってSNS上でさまざまな議論が交わされました。

橋下徹元市長が指定管理者制度を使って、ソーラーパネル発電に取り組む事業者と契約を交わしたのが要因となっています。

それが中国の企業である「上海電力」だったことで、手続き上は問題なかったのかという声が広まりました。

ここでは、元市役所職員の筆者が手続きに問題がなかったのかを解説しましょう。

 

指定管理者制度とは

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まず、本題へ入る前に指定管理者制度を説明します。簡単に言えば、行政の事業に協力してもらえる民間企業を決める手続きのことです。

民間と行政は区別される印象がありますが、PPPやPFIの言葉にもある通り両者は互いに協力することで地域がより活性化されます。

指定管理者制度も、民間と行政の連携を深める方法のひとつです。

主なやり方として、二通り挙げられます。

  • プロポーザル方式
  • 総合評価方式

それぞれの方式について詳しく紹介しましょう。

プロポーザル方式

プロポーザル方式は、民間企業から企画を提案してもらい、それを基に委託先を決めるスタイルです。(競争入札方式が一般的)

あくまで提案された内容を精査するため、会社の中身は重視しません。(ただし、いわゆる反射勢力は除外される)

そこから民間企業同士がプレゼンなどを行い、最も条件に合致すると感じたところと契約を結びます。

総合評価方式

総合評価方式は、プロポーザル方式を改良した形式ともいえます。従来の競争入札方式では、どうしても「価格」が重視されました。

しかし、それでは安価であれば受け入れてもらえるといった安売りの契約しか結べなくなってしまいます。

民間の評価は、価格だけで決まるものではありません。むしろ高い価格を提案する企業ほど、優れたアイデアや製品を生み出す可能性もあります。

これらの事情を全て考慮すべく、事業内容や品質にも目を向けたのが総合評価方式です。

 

大阪市の「上海電力」問題

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では、大阪市の指定管理者制度は果たして問題があったのでしょうか?ここで行われる議論として、疑問視されていた内容を取り上げてみます。

  • なぜ中国の企業を選んだのか
  • 土地賃貸借契約を選んだ理由
  • 入札までの時期
  • 行政のやり方は法律上問題なかったか

それぞれを解説しましょう。

なぜ中国の企業と契約した

大阪市が「上海電力」と契約に至った理由は、正直にいえば偶然以外の何者でもないかなと思います。

中国側の思惑はわかりませんが、少なくとも大阪市は「ただ、その流れに落ち着いた」としかいえません。

話によると、元々は日本企業が事業に着手していたものの、上海電力が買収したとのことです。

皆さんの中には「この行為を大阪市が認めたのか」と疑問に思う人もいるでしょう。しかし、事業内容に変更がない以上は行政が介入する余地はありません。

なぜなら、行政側は単純に「土地を貸しているだけ」だからです。企業の中身についても、行政はそこまで見ません。

「反社かどうか」くらいしか参照しないため、民間企業の動きなど知ったこっちゃないというのが本音です。

むしろ企業の実態を行政が詳しく見てしまうと、公平性が失われてしまいます。そのため行政が参考にするのは、あくまで事業内容のみとなるのです。

なぜ「土地賃貸借契約」なのか

なぜ行政は、土地賃貸借契約を結んで土地の貸し出しを行ったのでしょうか?

この方法にも、いくつかのメリットがあります。

まず考えられるメリットは、管理費や事業費などが行政側で発生しない点です。そのため、行政側も予算を作成して毎年決算書を作る手間が省けます。

賃料の歳入予算は作る必要はありますが、毎年決められた額を作ればいいので業務上は難しくありません。

要するに円滑な行政を実現するべく、土地賃貸借契約書を選んだと考えられます。

ほかにも、民間企業側も費用を抑えられる点がメリットのひとつです。

20年間は土地を使うことができ、事業内容が変わらなければ煩雑な手続きも必要ありません。長期間事業を担ってもらううえで、土地賃貸借契約が便利だっただけです。

入札まで早すぎないか

上海電力の入札は18日で完結したそうです。

「この日数が早すぎる」と議論を呼んでいますが、実は指定管理者制度のなかでは割と平均的なスピードかなといえます。

そもそも、あくまで入札までの流れは「ガイドライン」などに沿う形であり、具体的な期間が規則で定められているわけではありません。

だから、実際には最短10日で契約を結ぶことも可能です。つまり、大阪市の手続きも問題だとはいえません。

法律の抜け目を行政が利用したのか

最後に、法律の抜け目を行政が利用したのではと疑問視する人もいました。この疑問に関しては、行政の役割を理解する必要があるかなと思います。

行政はあくまで法律の下で仕事を進めていく機関です。

そのため、いくらグレーかなと思っても「法律や規則上」問題なければOKする必要があります。

「中国の企業が日本で事業をするのはおかしい」といえども、法律上そうなっているから仕方ないとしかいえないでしょう。

行政が勝手な判断で拒否すれば、それこそ「行政事件訴訟」に発展する問題です。

もし、「法律が問題だ」というのであれば、立法に意見する必要があります。行政が負うべき責任ではありません。

 

上海電力の問題のまとめ

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最後に、上海電力の問題をひととおりまとめます。

今回は橋下徹元市長に対する「追及」目的で当該契約を持ち出した人も多いでしょう。ただし、行政の手続き上は特に問題が見当たりません。

確かに、インフラを握られて国防上で大丈夫かなと心配する気持ちもわかります。

しかし、あくまで追及すべきは立法および国の政策であり、いち自治体の市長が責任を負うのはおかしな話です。

橋下徹元市長のウクライナ危機に関する発言は私も間違っていると思います。

とはいえ、それとこれとでは話が別です。

この問題はリライトを続けていくかもしれません。情報が入り次第、いろいろと意見をまとめていきます。