どーも、やまとのです!
前回は国会議員の特権について記載していきました。
今回から『予算』をテーマに公務員試験突破のための記事を書きます。
本日は、予算の法的性格の覚え方を中心に勉強していきましょう。
しっかりと勉強すれば、公務員試験でも確実に得点源となります。
予算の先議権
予算を作るのって大変そう・・・
予算は款項目と管理が細かいからね。市役所も予算の仕事はするよ!
予算とは、国が作成する1年間に必要な収入と支出の予定や計画です。
国は毎年膨大な額のお金を管理しなければなりません。
- 教育に使う費用
- 道路工事や建物の建設
- 生活保護費の確保
予算を作成するのは内閣の仕事です。内閣が予算案を作ったらそれを国会に提出します。
この際にポイントとなるのが、予算は衆議院へ優先的に提出することです。
これは衆議院の優越の1つであり、『予算の先議権』と呼ばれています。
国会ではまず衆議院が予算について可決し、その案が参議院へ渡されます。
参議院に異議がなければ問題ないのですが、もし異なった議決をしたら両院協議会でお互いに話し合わなければなりません。
それでも意見が一致しなかったら、衆議院の議決が優先されます。
予算の3つの法的性格
あー、また法的性格か。。。
複雑だけど主に「予算の効力と権限の所在」を重視しよう!
予算には、学問の観点においてさまざまな捉え方があります。この捉え方が予算の法的性格です。
主に3つの法的性格があると考えられています。
- 予算行政説
- 予算法規範説
- 予算法律説
法的性格の覚え方として
『予算が憲法において法規範性を有するか』を意識しましょう。
つまり、決定した予算がどの程度の効力を持つかに焦点を当ててください。
予算行政説
この説は
予算の作成は行政の権限が大きいと考えるのが特徴です。
行政が作る予算案に対して、国会は承認するしか権限を持ちません。あくまで、財政計画を承認させる意思表示とする解釈です。
つまり国会が権限を発動しているわけではないため、予算に法規範性は持たないと考えます。
ただし、日本国憲法は財政民主主義を掲げています。財政民主主義とは、財政活動は国民の代表である国会の議決が必要とする考え方です。
予算案が国と政府間しか効力を発揮できず、国会に権限を持たせないのは財政民主主義に反すると批判もされています。
予算法規範説
予算法規範説は、1会計年度の予算は法規範性を持つと考える説です。
この法的性格のポイントは、
「法規範性は認めるものの、法律そのものではない」と解釈することです。
予算に一定の拘束力を認める一方で、法律とは同一視しないと捉えています。
あくまで国会の議決で成立する法形式であり、歳入と歳出の予定を示した規則です。
予算が成立しても、支出について命令した法律がなければ実行できません。
行政の権限を大きくしすぎず、財政民主主義に則っていることから3つの説の中でも通説とされています。
また、憲法で「予算の提出権は内閣に属する」と定められている点も、この説が支持される要因の一つです。
完全に法律と捉えると、国会が処理をしなければなりません。行政と国会の職務や権限のバランスを上手く取っています。
予算法律説
予算法律説は「予算はそれ自体が法律である」と考える説です。
予算行政説や予算法規範説の場合、予算を完全に法律と同一視しているわけではありません。
つまり、予算と法律の内容が一致しないケースも考えられます。予算法律説であれば、両者において不一致が生じません。
この説の特徴は、国会が自由に予算を修正できることです。国会は法律の制定や改正を担当します。
予算を法律と同一視するのであれば、国会が自由に修正できるのは想像が付くでしょう。
財政民主主義の観点では、予算法律説が最も理に適っています。外国でも、この考え方を採用している国も存在します。
ただし、日本の場合は予算と法律は別物と考える方が一般的です。加えて、現行憲法では法律案の作成は国会、予算案の作成は内閣に委ねられます。
日本のシステム上、予算法律説は国会と内閣の関係に矛盾が生じてしまいます。
法的性格による予算修正
予算はやり方に応じて修正する必要もあります。そのやり方は大きく分けて、次の2つです。
- 減額修正
- 増額修正
それぞれの具体的な仕組みを掘り下げましょう。
予算の減額修正
国会の予算の減額修正は、基本的には制限なく認められると考えます。
その理由は、何度も説明しているとおり日本では財政民主主義を採用しているためです。
明治憲法の頃は、予算の審議にも一定の制限がありました。減額修正の場合も、明治憲法では政府の同意が必要でした。
現行憲法下においては、どの見解に立っても減額修正に制限はないと考えるのが基本です。
予算の増額修正
予算の増額修正になると、各法的性格で考え方は異なります。
予算行政説の見解によれば、増額修正はできないと考える説もあります。国会に予算発案権がないことが理由です。
一方で、予算の同一性を損なわない限りは認められる見解も存在します。
予算法規範説に立つと、意見は大きく2つに分かれます。
1つ目は、予算の同一性を損なうような大幅修正は認められないとする説です。あくまで予算の発案権は内閣に属する点を考慮しています。
2つ目は、増額修正にも制限はないと考える見方です。財政民主主義を重視した考え方といえます。
予算法律説では、増額修正に制限はないと捉えるのが一般的です。予算を法律と同一視する以上、国会に制限をかけるのは妥当ではないためです。
まとめ
今回は公務員試験の憲法対策として、予算の基礎や法的性格の覚え方を中心に書いてみました!
しっかりと違いを押さえて、試験に出されても答えられるようにしてください。
予算の法的性格は、それぞれ次の3つの説が存在します。
- 予算行政説
- 予算法規範説
- 予算法律説
覚え方として
『法規範性をどの程度持たせているか』で区別しましょう!
予算の減額及び増額修正も
『法規範性の範囲』で大方押さえられます。
ご覧いただき、ありがとうございました!