【資格の教室】ヤマトノ塾

法律・経済学・歴史学の勉強ブログ

行政書士試験の記述式!採点がブラックボックスなのは本当?

行政書士試験の記述式を諦めていませんか。採点基準が見えないからといって、すべてを捨てるのは望ましくありません。

この記事では行政書士試験に短期合格を果たした筆者が、記述式の勉強方法について詳しく解説します。ブラックボックスの噂にも触れるので、行政書士試験を勉強している方はぜひ参考にしてください。

 

行政書士試験の記述式とは

※画像はイメージです

行政書士試験は大きく分けて、択一試験・多肢選択・記述式があり、300点満点中180点以上を取らないといけません。その中でも記述式は、60点と少なくない割合を占めています(1問につき20点)。

記述試験で出題されるのは、行政法1問と民法2問です。行政法は訴訟を扱う問題、民法は物権および債権に関するテーマが出題される印象です。ただし明確に範囲が決まっているわけではないので、幅広く押さえる必要があります。

 

 

記述式における採点基準

行政書士試験の記述式の採点基準ですが、こちらも部分点をどうジャッジするかは明かされておらず、ブラックボックスとなっています。

そのため記述試験の採点を巡っては、議論が交わされるケースも珍しくありません。しかし記述式も、論点を大きく間違えていなければ6割は取れます。

ここでは法律ライターの視点から、採点基準に関する考えを紹介しましょう(あくまで憶測なので悪しからず)。

キーワードを押さえているか

行政書士試験の記述式において、意識されている要素の一つがキーワードです。令和6年度の行政法では、「国を被告として」「免許処分と拒否処分のいずれか」「取消訴訟」あたりが該当しているといえます。

これらの用語を押さえ、矛盾なく書けていたら満点に近い点数を貰えるでしょう。ただし、各キーワードがどのくらいの配点になっているかは明かされません。自分の書いた答えと、点数を照らし合わせて予想するしかありません。

字数は40事前後となっているか

行政書士試験の記述式は、字数が40文字前後と指定されています。記述の割には字数が少なく、実際に書いてみるとすぐに枠が埋まってしまいます。

字数を無視して、ひたすら長い文章を書いても基本的に採点されません。短い文の中で、問題文に沿った答案を作成させる必要があります。

キーワードをすべて見つけることができれば、文字数は自ずと40字前後になるでしょう。あまりにも足りないときはキーワードを見つけ、少しオーバーするときは無駄な記載をカットしましょう。

論述として成り立っているか

意外にも盲点となりやすいポイントですが、記述式は論述として成り立っていなければなりません。キーワードだけを羅列しても、文章としては成立していません。文のはじめから終わりまでを通して、主張が伝わるようにするのが基本です。

自分では書けたつもりになっていても、他人から見たら支離滅裂な文になっている可能性も考えられます。私も法律ライターの仕事をしていますが、自分では気付かない部分を指摘されるケースはあります。

確かに行政書士試験の記述は、採点基準が明確になっていない問題です。とはいえ、たとえブラックボックスであっても、要点を押さえていれば基準点は取れます。定期的に記述の勉強もしましょう。

 

記述式に不満が出やすい理由

受験生が記述式に不満を覚えやすい理由は、絶対評価で合否が決まるからでしょう。行政書士試験は、180点さえ獲得できれば誰もが合格できます。そのため年によっては20%を超えていたり、5%台に落ち込んだりしてもおかしくないはずです。

しかし行政書士試験の記録を見てみると、バラつきがありながらも合格率は10%台に留まっています。したがって択一が簡単な年は記述式の評価が辛く、反対に択一が難しい年は記述式が易しくなると考える人も多いわけです。

実際のところ、その噂が本当かは私にはわかりません。ただし一つ言えるのは、模範解答に沿った文さえ書ければ、納得のいく点数はもらえることです。

私としては、行政書士試験は極めて平等かつ公平に審査されていると考えます。もちろん複数回受験されている方の中には、記述の出来は同じくらいだったのに、去年よりも辛く採点されたケースもあるでしょう。

一方で要点を押さえているにもかかわらず、1ケタ台の点数しかもらえないことはまずありません。無用な心配をする前に、記述式でも点数を稼ぐつもりで勉強しましょう。

 

 

記述式を捨てるのはNG

ブラックボックス化している記述式に対し、わざわざ勉強時間を充てるのはもったいないと感じる人もいるでしょう。しかし完全に捨てるのは、個人的にはおすすめしません。主な理由について紹介します。

残りの問題で180点超えは難しい

記述式を捨てるのをおすすめしない理由が、残りの問題で180点超えるのは難しいためです。記述式は60点であるため、残りは合計で240点となっています。

一見すると、240点中180点はハードルが低く感じるかもしれません。しかし1問につき4点であることから、15問しか落とせない計算になります

行政書士試験では、法令のみならず基礎知識も範囲に含まれています。基礎知識で苦手な分野が出てきたら、180点超えのハードルはさらに高くなるでしょう。

記述式の60点をすべて捨てるのは、かえって行政書士試験の難易度を上げてしまいます。しっかりと点数取れる状態にはしておきましょう。

記述式は部分点を貰える

記述式は、設問で完答できなければ0点になるものではありません。キーワードを1つ逃したとしても、残りの部分が書けていたら部分点をもらえます

部分点の付け方は決められていませんが、4〜14点あたりとなるのが多いようです。仮に3問で10点ずつしか取れなくとも、合計すれば30点となります。合格するには十分な点数です。

とはいえ40字しっかりと埋めても、的外れなことを書いていたら点数はもらえません。問題文をよく読みながら、少なくとも要点だけは押さえるようにしましょう。

法律の理解につながる

記述式を勉強することは、択一試験や多肢選択の得点アップにもつながります。その理由は、法律の勉強は「点」ではなく「線」で覚えると理解しやすくなるためです。

法律を暗記科目と考えている人も多いようですが、実際には論理的思考力が問われます。物事の因果関係を捉え、帰納的または演繹的に説明できる能力が重要です。

択一試験ではイメージしにくい問題でも、記述式で深く掘り下げたらより理解できるケースもあります。ただ暗記するのではなく、視点を変えて勉強するのも効果的です。

 

行政書士試験での記述式の勉強法

行政書士試験の記述式のおすすめ勉強法を簡潔にまとめた図

私は勉強期間正味3ヶ月しかありませんでしたが、無事に行政書士試験を合格できました。特に記述式は、60点満点中40点と悪くない出来でした

つまり短期決戦においても、記述式を得点源にすることは十分可能です。ここでは、私が実際に取り入れた勉強法を紹介しましょう。

ノートや紙にひたすら書く

記述式で絶対に取り入れてほしい勉強法が、ノートや紙にまず書いてみることです。記述式の場合、自分の脳内にある知識を文として表現する力が求められます。この力はアウトプットともいわれ、小論文や面接でも問われる能力です。

テキストを使って、知識を取り入れる方法はインプットと呼ばれています。インプットとアウトプットは表裏一体とはいえ、アウトプットは別個に鍛えないと効果が上がりません。

文字を書く際には、チラシの裏でもとりあえずは問題ないでしょう。文章も慣れが必要であるため、自然と40字を書ける状態にするのが賢明です。

択一試験をしっかりと勉強する

記述式に必要な知識は、ほとんどが択一試験の範囲に含まれています。要するに択一試験の範囲を理解できていなければ、その知識を生かした文章は書けないでしょう。

特にチェックすべき部分は、条文とその解説です。民法や行政法の各条文が、どういった目的で作られているかを大まかに押さえてください。

2024年の記述式も、すべての問題が条文の知識だけで対応できるようになっていました。特に民法は条文が多いものの、知識を日々積み重ねましょう。

問題集を何度も解く

何度試験を受けても記述式の点数が上がらない場合、行政書士試験の採点ポイントを把握できていない可能性があります。記述は採点者にもクセがあるので、どう文を書けば評価されるかを捉えることが大切です。

これまでの過去問を見る限り、行政書士試験における記述式の解答例は割とあっさりしています。キーワード(要点)を見つけ出せれば、平易的な言葉でつなげるだけでも問題ありません。

40字ピッタリ書いているにもかかわらず、記述式で落とす人は要点を掴めていない可能性が高いです。自分では上手く書けているつもりでも、採点者には伝わっていない文になっているかもしれません。

下手にかしこまって、難しい言葉をただ並べるのは逆効果です。民法と行政法の基本に立ち返り、40字で簡潔に整理する練習をしましょう。なお筆者は、以下の問題集を使っていたので紹介します。

 

予備校講師等に見てもらう

完全独学だった私にはできませんでしたが、予備校に通っている方はプロに文を見てもらうことも方法の一つです。文章は、相手に伝わらなければ意味がありません。正しく書けていたと自負していても、要点を押さえていないと点数につながりにくくなるだけです。

予備校講師であれば、解答例をもとに客観的な立場から記述内容をジャッジしてくれます。講評をもらいつつ、改善点を積極的に聞くといいでしょう。

ただし本番のテストで採点するのは、あくまで行政書士試験研究センターの人です。多少の個人差が出る可能性はあるため、参考程度に捉えてください。

 

記述式を鍛えて行政書士試験合格を目指そう

記述式ではさまざまな文章が生まれるため、採点で多少の誤差が出るのは仕方ないことです。不満に思う人もいるかもしれませんが、まずは必勝法を自分なりに見つけないといけません

行政書士試験を実際に受験して感じましたが、正しく勉強すれば誰にでも受かるチャンスはあります。一発合格がすべてではないので、まずは日々の勉強時間を大切にしましょう。

このブログでは、行政書士試験に使える知識もどんどん紹介します。筆者も短期合格を果たした一人であるため、ぜひ参考の一つにしてください。