行政書士試験では、商法(会社法)も試験範囲に含まれています。しかし勉強がなかなか追いつかず、捨てたいと考えている受験生もいるでしょう。
この記事では行政書士試験に短期合格・一発合格を果たした筆者が、商法(会社法)をどう勉強したかを解説します。受験生は、筆者の勉強法も参考の一つにしてみてください。
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商法(会社法)を捨てるのはあり
まず結論から言うと、商法(会社法)を捨てる分には問題ありません。なぜならたとえ全問外れたとしても、合格点を取ることはできるからです。
行政書士試験は、300点あるうち180点取れば合格となります。そのうち商法(会社法)は20点分、つまり5問しか出題されません。
仮に20点分を失ったとしても、残りは280点あります。そのため作戦の一つとして、商法(会社法)は捨てる方法はあるかと思います。
もちろん筆者は商法(会社法)を捨てるのを、積極的に推奨しているわけではありません。勉強に余裕があるのなら、少しでも多く点を稼げたほうが有利だからです。
とはいえ勉強は効率が重視されます。商法(会社法)の得点が望めないのであれば、捨てるという選択肢も英断になるかもしれません。
筆者は商法(会社法)を捨てたか
3ヶ月の勉強で行政書士試験に挑んだ筆者は、商法(会社法)を積極的に捨てたわけではありません。とはいえ行政法や民法、憲法と比べたら大して勉強していないのも事実です。
10割で考えた場合、商法(会社法)の勉強時間は全体の1割にも満たなかったと思います。その理由は、商法(会社法)が苦手だと自分でわかっていたからです。
たとえ一生懸命勉強していても、合計得点にはそこまで影響がないと感じていました。そのため完全には捨てていないものの、優先順位としてはかなり下のほうでした。
商法(会社法)を捨てるメリット
商法(会社法)を捨てることで、勉強がむしろスムーズに進む場合もあります。実際の試験勉強において、どのようなメリットがあるかをまとめます。
他の科目に集中しやすい
商法(会社法)を捨てるメリットは、他の科目の勉強に集中しやすくなることです。行政書士試験は、憲法や行政法、民法に加えて一般教養や基礎法学など出題範囲が広いです。
商法(会社法)に時間を取られていると、他の科目の勉強が追いつかなくなる場合も考えられます。得点源にするのが難しいのであれば、いっそのこと他の科目で勝負する手もあるでしょう。
合計点数が上がることもある
商法(会社法)をあえて勉強しなければ、合計点数が上がる可能性もあります。商法(会社法)は法律科目の中でも専門性が高く、覚えるのが極めて難しい分野です。株式の内容や会社の設立、機関といった詳しい知識を押さえないといけません。
複雑な知識が求められる商法(会社法)に時間をかけすぎると、行政法や民法の勉強時間が短くなります。全体的に勉強が中途半端になってしまい、合計点数が伸び悩む原因にもなりかねません。180点を確実に取るべく、ほかの科目を重点的に勉強するといった考え方もあります。
モチベーションアップにつながる
商法(会社法)を捨てるということは、勉強すべき科目が一つ減るわけです。つまり対策する範囲も狭まるので、勉強は間違いなくラクになります。
行政書士試験の勉強において、重要な要素の一つがモチベーションです。とくに1年かけて勉強している人であれば、合格する覚悟を常に持ち続けないといけません。
しかし焦りが生じてしまうと、試験を受けるのが不安になってモチベーションが下がりかねません。その焦りの原因となりやすいのが、いろんな科目に手をつけて情報を整理できていないことです。そこで範囲をあえて狭め、他の科目の進みをアップさせる方法もあります。
商法(会社法)を捨てるデメリット
反対に商法(会社法)を捨てることで、合格の可能性を下げてしまう恐れもあります。正直なところ「人による」のが正解であり、どちらを選ぶのが正しいかはわかりません。そのためデメリット面も押さえ、どうするべきかを自分で判断する必要があります。
あと1問が合否を分けることも
筆者も行政書士試験の受験生だった頃は、そこまで商法(会社法)に力を入れていませんでした。3ヶ月という短期間での勉強だったため、行政法や民法に力を入れました。
しかし結果を見てみたら、商法(会社法)の2問正解がなければ合格できていませんでした。つまり対策していなかった商法(会社法)が、結果的に筆者を救ったのです。
このように行政書士試験は、あと1〜2問で笑ったり泣いたりすることも珍しくありません。少しでも点数を上げるために、勉強しておくのは一つの作戦といえます。
意外と得意分野な場合もある
商法(会社法)を受けつけないと感じやすい理由は、規定が多いうえに一つひとつの条文も長いからです。加えて「会社」という分野であり、何となくとっつきにくいと感じる人もいるでしょう。
一方で行政書士試験は、ほとんどが働きながら受けているはずです。普段の仕事において、実は深く関わっている分野が見つかる可能性もあります。
勉強していたら楽しくなっていき、意外と深くハマることも考えられます。勉強始めたてのときは、まずチャレンジしてみるのがおすすめです。
民法と関連が深い
商法(会社法)は、民法と関連が深いといった特徴もあります。民法と商法の違いを押さえるだけで、解答できる問題も出てくるかもしれません。
さらに両方の科目を一緒に勉強することで、それぞれに関する理解が深まる可能性もあります。相乗効果が働き、双方の点数アップにつながることもないとは言い切れません。
商法(会社法)のおすすめ勉強法
最後に商法(会社法)の勉強法を詳しくまとめます。もし捨てるのが怖いと感じている方は、ぜひこの方法も試してみてください。ただし合わないと感じたら、違う方法も検討してみましょう。
勉強する範囲をしぼる
商法(会社法)を勉強するときは、いっそのこと範囲をしぼったほうがラクです。会社法は全部で979条、商法は683条あるため全部覚えきれないでしょう。
基本的に問われやすい範囲は、株式や会社の設立、株主総会および各機関(取締役・監査役など)です。商法に限れば、比較的商行為が問われやすいといえます。ただし優先して勉強したほうがよいのは「会社法」です。
もちろんほかの分野も、本番で出題される可能性はあります。しかし頻出度が低い問題は、ほかの受験生も基本的には当てられません。捨て問題と割り切ってしまい、勉強した範囲を正確に解けるようにしてください。
問題集から傾向をつかむ
行政書士試験も、過去問が形を変えて再利用されるケースは珍しくありません。全く同じ内容で出題されるとは考えられにくいものの、似たような問題はいくつか出てきます。
勉強する際には、問題集から過去の傾向をつかむことが大切です。行政書士試験では、基本的に会社法から4問、商法から1問の割合で出題されます。
2024年も、例年と変わりありませんでした。おまけに商法の1問は、匿名組合から出題されました。きちんと理解して、解けた人はほとんどいないはずです。
こういった特徴もあるので、正直な話「会社法だけ勉強する」という方法で全く問題ありません。1問しか出題されない商法は、捨ててしまっても合否に深く関わらないでしょう。
行政書士試験用のテキストを使う
会社法や商法は条文が多すぎるため、全文を勉強するのは望ましくありません。たとえ範囲を絞ったとしても、勉強量があまりにも多くなってしまいます。会社の設立に関する法律だけでも、第25条から第103条とボリューミーです。
行政書士試験用のテキストを使用すれば、覚える必要のある内容が優先的に記載されています。不要なところまで勉強してしまうのを防げます。特に会社法や商法は出題数が少ないため、効率をより重視する必要があります。
おすすめのテキスト
筆者は行政書士試験の勉強において、早稲田経営出版のテキストを使用しました。
こちらを使うメリットは、カラフルかつシンプルで読みやすいからです。法律を勉強する際には、イラストで内容をイメージするのが適しています。早稲田経営出版のテキストはイラストも随所に用いており、法律初学者でもおすすめです。
おすすめの問題集
さらに問題集は、LECの「出る順行政書士」を使いました。
こちらを選んだ理由は、問題数が多く収録されているからです。重要度と正答率も記載されているため、自分のレベルを認識するうえでも役立ちます。解説もシンプルでわかりやすく、テンポよく問題を解きたい方におすすめです。
ただし筆者の使用したテキストと問題集は、製作会社が一致しておりません。筆者は司法試験用のテキストを持っていたため、行政書士試験用のテキストは「使いやすさ」を意識しました。
なるべくテキストと問題集は、同じ製作会社のものを使うのがおすすめです。そこで上記の問題集と同じ「LEC」が採用しているテキストも、併せて紹介しましょう。
商法(会社法)の勉強ポイント
商法(会社法)の勉強で押さえてほしいポイントは、絶対に無理をしないことです。行政書士試験では、行政法や民法を優先して覚える必要があります。それだけではなく、一般知識も商法(会社法)より優先度が高い科目です。
どうしても覚えきれないときは、科目を捨てることも方法の一つといえます。ただし積極的には推奨できないため、範囲を限定して勉強するとよいでしょう。5問中、2問くらいを正答できるようにしてください。