今回勉強する内容は『行政行為の附款』です。
『附款』とは何だろうと思うかもしれませんが、順を追って説明します。
公務員試験では、それほど頻繁に問われる内容ではありません。しかし、今後のためにも知っておいた方が得策です。
条件や期限、負担、撤回権の留保などの専門用語も自分で説明できるようにしましょう。
行政行為の附款とは?
まずは、行政行為の附款の全体像について説明します。分かりやすい例も出すため、しっかりと理解を深めてください。
行政行為の附款の定義
行政行為の附款(ふかん)は、「行政行為の主たる意思表示に付加される行政庁の従たる意思表示」が定義とされています。
定義だけでは何を指しているのか分かりづらいものの、感覚的としては「おまけ」と捉えてください。
『ポケモンパン』が主たる表示だとすれば、附款は『ポケモンシール』を指します。
行政行為でも、メインとは別の意思表示たるものが存在します。
行政行為の附款の具体例
附款の具体例は、以下の5つです。
- 条件
- 期限
- 負担
- 撤回権の留保
- 法律効果の一部除外
これらの効果は後述します。
附款は行政行為を制限するものであるため、一般的には「附款を付ける旨法律に明示されること」が条件です。
しかし、行政の裁量によっても附款をつけられます。
必ず法律の根拠が必要だというわけではありません。
- 附款は行政行為に付随させる意思表示
- 条件や期限をはじめ5種類ある
- 行政の裁量で附款はつけられる
附款の中身を説明
ここでは、先程紹介した5つの具体例について詳しくまとめます。
- 条件
- 期限
- 負担
- 撤回権の留保
- 法律効果の一部除外
日常的に使う言葉もあれば、普段は絶対に使わない難しい言葉もあります。
これらがそれぞれどのような意味を持つのか紹介しましょう。
初めて勉強する方は、まず条件・期限・負担を先に押さえてください。
余裕が出てきたら、他の2つの押さえるようにしましょう。
条件(不確実な事実への附款)
条件は将来に起こる不確実な事実にかからせる附款です。
要するに、「もし~が起こったら」と起こるかどうか分からないものを前提にします。
停止条件
事実の発生と同時に効果が生じるものを『停止条件』と呼びます。
例を挙げれば「試験に合格したら普通自動車免許を与える」と約束することです。
条件が整えば、行政行為の効果が発揮されるものです。
解除条件
一方で事実が発生したときに効果が消滅するのが『解除条件』です。
こちらは、「災害が発生したら道路工事を中止する」という内容が該当します。
停止条件とは反対に、条件が整ったら行政行為の効果は無くなってしまう点が特徴です。
期限(確実な事実への附款)
期限は条件とは異なり、将来に起こる確実な事実にかからせる附款です。ただし、不確実期限の概念もあるため併せて紹介します。
確実期限の例
大学のレポートも、当たり前のように期限が定められているでしょう。
「来週の火曜日までに提出しなさい」などと言われるかと思いますが、地球が回っている限り提出日は必ず訪れます。
この考え方が、「確実な事実にかからせる」です。
不確実期限の例
基本的には確実か否かで条件と期限を区別しているものの、不確実な事実に期限を設定できないわけではありません。
例えば、「Aが中学生になったらカバンを買う」などのような場合です。
人は成長すれば中学生にはなりますが、具体的にカバンを買う日が決められてはいません。
このように不確実な事実に関しても、期限を設けることができます。
条件や期限は『民法』でも習う内容であるため、大枠を押さえておいて損はないでしょう。
負担(特別な義務が生じる)
『負担』も日常生活でよく使われます。
これは行政行為に付け加えて、相手へ特別な義務を生じさせる附款です。
私も該当しますが、ある一定の視力がなければ自動車を運転する際にメガネかコンタクトレンズが必要となるでしょう。
運転におけるメガネ及びコンタクトレンズにかかる義務が負担です。
負担はもちろん履行されなければなりませんが、それが無くとも行政行為の効果は当然に失われることはありません。
撤回権の留保
撤回する旨をあらかじめ伝えて実行に移す附款です。
道路工事するといっても、状況に応じて中止となることもありますよね?
このような取りやめも、行政行為の撤回の1つです。
行政は撤回する状態を保ち続け、いざその時が来たら附款を発動させます。
ただし、実際に撤回するとなると私人(国民)の負荷がかかるでしょう。
そのため、撤回をする場合には、実質的な理由が必要とされています。
法律効果の一部除外
最後に、法律効果の一部除外をチェックしましょう。
行政行為に付着しているはずの法律の効果を除外する附款です。
僕自身も以前は公務員として市役所に勤務していました。
公務員は出張するときに基本的には『旅費』が支給されます。
一方で、出張でも本来必要としない部分には旅費を支払わない対応も可能です。
旅費は法律の効果の一部なのに支払われないとなれば、「法律効果の一部除外が発動された」といえます。
この附款は、本来認められている効果を制限するものであるため、『法律の根拠』がなければ一般的に発動できません。
- 条件→不確実な事実
- 期限→確実な事実
- 負担→特別な義務を与える
まとめ
今回は公務員試験の行政法における附款を解説してみました。
附款は、主に以下の5つがあります。
- 条件
- 期限
- 負担
- 撤回権の留保
- 法律行為の一部除外
公務員試験では、とりあえず定義と発動にかかる条件を押さえていれば、問題なく回答できるでしょう。
自身が持っている問題集の内容と見比べながら、ぜひ公務員試験の勉強の参考材料にしてみてください。
ご覧いただき、ありがとうございました!
- 附款の意味を理解しよう
- 条件・期限・負担は押さえよう
- 余裕があったら他の効果も
次回の行政法に関しては、こちらの記事にまとめています。