どーも、やまとのです!
公務員試験シリーズは
民法の『代理』の範囲に入りました。
今回は代理行為の瑕疵について書いていきます。
1.代理権の基礎を押さえよう
代理行為の瑕疵の前に
まずは代理権の基礎を理解しなければなりません。
前回の記事でも触れましたが、代理とは本人の行為を代わって行うことです。
代理人が本人の行為をするためには、
相手方に対して自分が代理人である旨を表示する必要があります。
これが俗に言う
『顕名(けんめい)』です。
僕のパソコンだと一発で変換できないくらいマイナーな漢字ですが、基本的な内容なので絶対に覚えておいてください。
顕名がされない代理行為は、
相手方がそれについて善意無過失だったら代理人に効果が発動します。
相手方が
・代理人が本人のための行為と知っていた
・もしくは知ることができた
場合は本人に効果は帰属するようになります。(悪意または過失)
あくまで目的は相手の保護にあるので、
・知っていた
・知ることができた
時は通常通りの代理行為が成立するのです。
2.代理行為の瑕疵
しかし、そんな代理にも
『代理行為の瑕疵(欠陥)』が見られる場合もあります。
よく使われる例が『詐欺』です。
詐欺にもさまざまなパターンがあるので、個別ごとに見ていきましょう。
・相手方が代理人を詐欺した
まずは、取り引きの相手方が代理人を騙して契約を交わした事例です。
この場合、代理行為の瑕疵の有無は
「代理人を基準」に考えられます。
なぜなら、実際に契約を交わしたのは代理人だからです。
もし、代理人が騙されていたのなら、
この行為は取り消すことができます。
ちなみに、取り消しを主張できるのは本人です。
代理の効果は本人に帰属しますからね。
ゴチャゴチャしやすいですが、落ち着いて整理してください。
・相手方が本人を詐欺した
次に相手方が代理人ではなく、本人を騙した場合です。
確かに代理行為の効果は本人のものになります。
とはいえ、契約を結んだ代理人は騙されていません。
この時は代理行為の瑕疵をもって
行為を取り消すことができるのでしょうか?
正解は「×」です。
その理由は、代理行為の瑕疵には
『代理人を基準に』考えられるという原則があります。
代理人が詐欺の被害に遭っていなければ、行為を取り消すことができません。
公務員試験でも引っ掛け問題に出されやすいポイントです。
・相手方の詐欺を本人が知っていた
では、
・代理人が相手の詐欺に気付かず
・本人はその事実を知っていた
という場合はどうなるのでしょうか?
これも民法第101条3項に記載されています。
取り引きにおける代理行為の瑕疵を本人が把握していたら、
代理人の善意を利用して取り消すのはNGです。
基準は代理人にありますが、
わざわざ事実を知っている本人を保護する必要もありません。
民法は取引の公平を優先的に考慮しているので、こういった悪意は保護されにくくなります。
3.代理人の行為能力
最後に代理人の行為能力に焦点を当ててまとめていきましょう。
もし、仮に代理人が制限行為能力者だった場合を想定します。
通常であれば、
制限行為能力者と取り引きしたら効果を取り消すことが可能です。
法定代理人が「ちょっと待てぃ!」と飛んで出てきてバッサリ契約を切るか、Goサインを出すかの判断をします。
しかし、代理人が制限行為能力者の場合、取り消しすることができません。
それは、わざわざ代理人の役職に制限行為能力者を任命させる本人に責任があるからです。
本人が制限行為能力者を使命しなければいい話なので、
原則は取り消しができないようになっています。
ただ、勘が鋭い方はお気づきだと思いますが、
代理人を本人が選ぶのは『任意代理人』のときのみです。
法定代理人は民法のシステム上自動的に決められるため、
中には制限行為能力者の法定代理人を制限行為能力者が務めるという場合も起こり得ます。
そのときには取り消し不可の免除が働きます。
何度か以前の記事に戻りつつ、
法定代理人と任意代理人の違いを押さえましょう。
つまり、制限行為能力者の法定代理人を制限行為能力者が務めてした行為は、取り消しも認められています。
公務員試験の対策として、
民法の範囲は全体をしっかりと網羅してください!
4.まとめ
今回は、代理行為の瑕疵についてまとめてみました。
定義と行為の取り消しが可能かどうかを整理することが大切です。
代理行為の瑕疵の態様をおさらいし、
公務員試験に生かしていきましょう!
ご覧いただき、ありがとうございました!