不動産投資の商品の一つである「みんなで大家さん」に対し、利用者が集団訴訟を予定しているニュースが話題となっています。しかし当該問題について、詳しい内容がわからない方もいるでしょう。
この記事では、みんなで大家さんと集団訴訟の内容についてわかりやすく解説します。法律問題を勉強している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
みんなで大家さんとは

みんなで大家さんとは、不動産投資の商品の一つです。不動産特定共同事業法に基づき、商業施設を中心に出資を募り、賃貸利益を出資者に分配するサービスを提供しています。
一般的に賃貸経営をするには、高額な初期費用と面倒な不動産管理をしなければなりません。一方でみんなで大家さんを利用すれば、1口100万円から出資に参加でき、営業者が代わりに不動産を管理します。
なお賃借人は、賃貸借契約を営業者と結びます。みんなで大家さんに出資する事業者は、営業者と組合契約を結ぶのがポイントです。したがって賃借人と事業者が、直接賃貸借契約を結ぶわけではありません。
J-REITとの違い

不動産の投資方法として、REIT(J-REIT)も存在します。しかしみんなで大家さんの運用方法は、J-REITとは異なるので注意しましょう。
J-REITとは複数の投資家から集めたお金をもとに、複数の不動産へ投資する方法です。運用会社が仲介し、得られた分配金を各投資家に渡します。
みんなで大家さんも運用会社が仲介しますが、特定の不動産に投資するのが違いです。またみんなで大家さんは出資者が「事業者」となるため、厳密にはJ-REITの投資家とも立ち場が異なります。
みんなで大家さんと集団訴訟
みんなで大家さんで提供している商品(シリーズ成田)について、集団訴訟を検討している原告らは、分配も遅れていると主張しています。ここでは事件の概要をわかりやすく解説します。
シリーズ成田の内容
シリーズ成田とは、成田国際空港の開発用地の一部を出資の対象とした商品です。1号〜18号の商品があり、運用期間5年・想定利回り7.0%を公表しています*1。
訪日外国人を6,000万人に到達させるのをサポートし、航空の機能を強化するのが主な狙いです。2020年に1号をリリースしたのが始まりであり、すでに約5年の歴史を誇ります。
今回、集団訴訟の原告となっている方々は、ほとんどがシリーズ成田に出資しているようです。さらにシリーズ成田のすべての商品で、分配が遅れています。
開発計画の変更と行政指導
みんなで大家さんの成田プロジェクトは、当初の計画と比べて大幅な変更が生じました。元々造成工事は2021年3月に終了する予定でしたが、複数回の延期を重ねて未だに工事を終えていません。
こうした影響もあってか、みんなで大家さんの成田シリーズでは分配金の停止が発生しました。そのため東京都と大阪府は、営業者側に行政指導を下しました。
営業者側は、行政指導を真摯に受け止める旨を公式サイトにて公表しています。しかし行政指導は法的拘束力を持たないにもかかわらず、社会的制裁に近い効果を持っていることに遺憾の意も表明している様子です*2。
なお行政指導については、筆者も別の記事で詳しく解説しています。行政指導の内容がわからない方は、こちらも併せて参考にしてください。
行政指導とは?行政処分との違いを行政書士試験向けに徹底解説 - 【資格の教室】ヤマトノ塾
事業者による集団訴訟
成田シリーズの分配金が停止されると、一番困るのは投資している事業者です。そこで事業者たちは、集団訴訟を考えている旨が報じられています。
今回、集団訴訟に参加予定の人数が1191人程度です。しかし実際には、分配金が得られていない投資家はさらにいることが想定されます。
集団訴訟といえども、代表者を1人選んで弁護士(弁護団)に任せるのが一般的です。そのため裁判では、営業者側と弁護士(弁護団)との戦いになります。
集団訴訟のメリットは、原告たちでお金を出し合うことで、1人あたりの訴訟費用の負担を軽減できる点です。とはいえ必ずしも勝てるとは限らず、勝訴したとしても相手が倒産するなどして費用を回収できなくなるリスクもあります。
投資をする際の注意点
今回のみんなで大家さんの騒動は、投資全般に共通して起こりうるリスクともいえます。不動産にかかわらず、投資には一定のリスクを押さえることが大切です。
ここではFPの資格も持っている筆者が、投資をする際の注意点を解説します。投資しようか考えている方は、しっかりと目を通してください。
利回りが高いとリスクも高い
一般的に投資の世界では、利回りが高い商品はリスクも高くなります。損失が発生するリスクが高いからこそ、利益を上乗せしようと考えるためです。このようにリスクのある資産ほど、期待収益率が高くなる考え方をリスクプレミアムと呼びます。
みんなで大家さんの成田シリーズは、利回りが7.0%と設定されていました。この利回りが高すぎると主張する方もいますが、不動産投資としては平均値と大きく変わりません。
ただし投資全般でみれば、7.0%という数値は利回りが高いほうです。つまり不動産投資そのものが、リスクの高い商品となります。
なおJ-REITの場合、利回りは平均して3〜5%程度で設定されています*3。このようにリスクを分散できる商品は、利回りも抑えられているのが特徴です。
利回りだけを見て投資すると、思わぬ損失を招く確率も高めてしまいます。高い数値に惑わされず、将来性もよく考慮したうえで投資することが大切です。
分散投資を心がける
投資をするときは、なるべく少額で分散投資するのがリスクを抑えられるコツです。みんなで大家さんは、基本的に特定の不動産に資金を投じる形式となっています。
そのため特定の不動産に関する経営が上手くいかなければ、基本的には損失を招くだけです。したがって投資のスタイルから見ても、リスクが高い商品といえます。
たとえばREITの場合、複数の不動産に投資をすることで、A建物の売れ行きが悪くてもB建物で取り返すといった戦略が可能です。さらにREITもプロが代わりに運営してくれるので、知識不足による損失も防げます。
株式投資でも個別の銘柄を購入するよりは、NISA口座を開設したうえで投資信託を購入したほうが賢明です。知識に自信がない方こそ、分散投資・少額投資を心がけましょう。
企業の経営状況を調べる
投資をする際には、商品だけではなく企業の経営状況も調べなければなりません。将来性があるかを判断できれば、多額の資金を失うリスクも下げられます。
みんなで大家さんに関しては、過去に2度の行政処分を下されていました。1回目の行政処分は2013年であり、一時的に債務超過へ陥ったことが行政から狙われます。
さらにSNSでは、みんなで大家さんを批判した企業に対して「名誉毀損・誹謗中傷により法的措置をとる」と強気な姿勢を見せていたともいわれています。こうしたムーブを目にしたときは、なるべく怪しんだほうが賢明です。
このように裏の情報は、SNSにも流れていることはあります。デマもあるため取捨選択は難しいものの、公式サイトだけではなく日々のニュースやSNSなど幅広く情報収集することが大切です。
投資は自己責任である
今回の事件は、みんなで大家さん側に過失があるものの、そもそも投資には自己責任の原則が付きまといます。投資にチャレンジしたいのであれば、金融リテラシーをきちんと身につけないといけません。
いくら説明不足の過失を立証したところで、金銭が返還されるかは別問題です。さらに訴訟は費用と時間がかかるため、原告側にも多大な負担がかかります。
どの投資方法を選んでも、一定のリスクは生じてしまいます。投資のリスクについては、下記の記事でも詳しく解説しているので併せて参考にしてください。
みんなで大家さん騒動まとめ
みんなで大家さんで集団訴訟が予定されている理由は、シリーズ成田の事業がストップしたことで、事業者への分配金も停止しているためです。東京都や大阪府から行政指導を下されているのもあり、今後も騒動は続くと予想されます。
みんなで大家さんに限らず、不動産投資は全体的に利回りが高い分、運用リスクも高まります。投資をするときは、企業の状況も入念に調査しなければなりません。
不動産投資を考えている方は、まず少額から始められるJ-RIETを検討してみるとよいでしょう。今では楽天証券やSBI証券といった、大手のネット証券でも購入できます。