青二才ヤマトノの学習帳

法律とスポーツが生み出す「秩序」

ネグレクトと罰

どーも、青二才ヤマトノです。

 

前回はネグレクトの定義や実態についてブログを書きました。

(前回リンクはこちらです↓)

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本日はその続きのお話でネグレクトで罪にかけられた場合について紹介していきます。

 

無論、罰が怖くてネグレクトをしないという問題ではありません。

 

子育ては子どもを守ることが第一ですし、普通に考えたら苦しんでいる子どもの顔など見たくないはずですので。

 

厳罰化が防げるかといえば、様々な考え方があるかと思いますが、事実として存在している法律をまとめていきましょう。

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◉目次

 

 

【1.一般的な罪】

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前回の記事から紹介している事例も踏まえながら説明していきます。

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児童虐待におけるネグレクトは本来、子どもを育てる義務のある保護者がその義務を破る罪に問われます。

 

この場合、真っ先に疑われるのが刑法218条における保護責任者遺棄罪です。

 

〈条文〉

老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。

 

保護責任者は先述したとおり保護者を指します。

 

遺棄とは必要な保護をしないことを示します。

 

  • 満足に食事を与えない
  • 服を着替えさせない
  • 部屋に閉じ込めておく
  • 家に置いてけぼりにして旅行行く

というのは子育ての放棄です。

 

条文から確実にネグレクトがこの罪に該当するというのは想像がつくと思います。

 

では、ネグレクトの結果、子どもが亡くなった場合にはどうなるのか?

 

その場合は、遺棄等致死傷罪に問われる可能性があります。

 

これは刑法219条に該当し、条文は以下のとおりになります。

 

〈条文〉

前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

 

前2条というのは遺棄罪(刑法217条)保護責任者遺棄罪(刑法218条)を指します。

 

この罪は刑期がイマイチ分かりづらいかもしれません。

 

傷害の罪とは傷害罪傷害致死が挙げられます。

 

ネグレクトの結果、子どもを殺めてしまった場合は傷害致死罪と比較して重い刑を科すこととなります。

 

傷害致死罪は3年以上の有期懲役刑です。(上限は20年)

 

この場合は、罪の重い傷害致死罪の刑期を科せられるんですね。

 

ですが、意図的に放っておいて本当に遺棄等致死罪でしか罪に問えないのでしょうか?

 

というわけで次に殺人の観点から見ていきたいと思います。

 

 

【2.殺人罪になるの?】

ネグレクトが殺人罪の対象になるかどうか?

 

ここで、1つ事例を挙げて紹介していきましょう。

 

今から10年前、大阪市でネグレクトにより子どもが死亡するという事件がありました。

 

加害者である母親は当時、児童扶養手当子ども手当を支給しておらず、事件当時はわずかな食料と子どもだけを残して長期間交際相手の家に泊まっていたとのことです。

 

居間の扉を粘着テープで止めて。

 

亡くなったのは3歳児と1歳9ヶ月児で母が出かける前には既に弱りきっていたそうです。

 

この事件が裁判で殺人にあたるか、遺棄等致死にあたるかが争われました。

 

検察は意図的に殺したのは明らかだとして無期懲役を求刑しますが弁護士は遺棄等致死にあたると対抗します。

 

大阪2児事件の場合は子どもの衰弱した姿を認識していたがために「未必的な殺意」が争点となりました。

 

未必的な殺意とは、積極的に殺害しようとする意思はないものの、死んでしまっても構わないと考えて放置するようなことを指します。

 

このままだと死亡するかもしれないということは分かっている上での行為ですね。

 

大阪地裁は未必的な殺意があったということで懲役30年の判決を言い渡しました。

 

やはり被告人側はその裁判に納得いかないと控訴をするものの、続く高等裁判所でも大阪地裁の判決を支持しました。

 

最終的には最高裁判所まで訴訟は進み、結果的には30年の有期懲役刑が科せられました。

 

 

【3.今回の事件の場合は】

では、ここで今回の事件について考えていきましょう。

 

事例としては大阪2児事件とそこまで相違ないかと考えます。

 

  • 部屋に閉じ込めて出られなくした
  • わずかな食料しか置かなかった
  • 長期間外出していた

とネグレクトの体系はそっくりです。

 

唯一、まだはっきりと同じだと言い切れないのは、既に衰弱していたかどうかが分からないというところですかね。

 

また、自らが119番に連絡したという点でも対応は異なりますが、虚偽の申告をしていたことも明らかになっております。

 

以上から、まずは未必的な殺意が含まれているか否かが争われる部分になるでしょう。

 

本当に死亡しないと思ったか、死亡しても構わないと思っていたのか。

 

今後の法解釈も含めて非常に重要になります。

 

確かに今回の事件では、殺意についてはまだ具体的には分からないかもしれません。

 

ですが、結果的に子どもを死亡させたのは事実です。

 

どのような結果となるかは分かりませんが、しっかりと罪を償い心の底から反省していかないといけないのは当然です。

 

そして、今の法律では児童虐待を完全に止めることが難しいのかもしれません。

 

例えば、児童相談所にもっと強行手段が行えるように整備するなどして直接手を下せるぐらいの権限を与えてもいいと僕は考えます。

 

児童虐待の事件が起こると、何かと児童相談所はバッシングされてしまうことが多いです。

 

確かに中には児童相談所の判断ミスもあるでしょう。

 

ですが、児童相談所もいわば法に則って仕事をしていかないといけないので、簡単に前例を破れないという制約があります。

 

そこを気にせずに簡単に行動できるような人がスーパーマンなのかもしれませんが、現実問題動けなくなってしまうことが多いように感じられます。

 

前例を破って結果成功しなかったら、それこそバッシングされてしまいますからね。

 

メディア含めて叩くだけが目的の方は結構多いですからね。

 

大半の職員の方はやる気に満ち溢れていると信じております。

 

コメンテーター等もすぐに公務員を叩きますが、ここは社会という1つの単位で見直していく必要があるのです。

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【4.まとめ】

前回に引き続き、ネグレクト問題を取り上げましたが、今回は法律の観点でまとめてみました。

 

ネグレクトが生んでしまう事件は今も止むことなく続いています。

 

そして、こうしている間にもネグレクトで苦しめられている子どもはたくさんいるのです。

 

子どもは抵抗ができません。

 

か弱き我が子どもを傷つけて何が楽しいのか?

 

自分のやっている行いをもう一度考えてほしいなと願うばかりです。

 

というわけで本日の内容はここまでとなります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。